2006/03/16 Category : Books 『容疑者Xの献身』東野圭吾 容疑者Xの献身頭脳快楽。3時間で、一気に読みきりました。すっごく気持ちいい。これは『香水』以来の爽快感じゃないかな。ミステリ、癖になりそう。言わずと知れた、今年の直木賞受賞作です。直木賞が発表される前の『ダカーポ』1/4・18合併号特集、「BOOK OF THE YEAR 2005」でもキッチリ取り上げられていました。そこではミステリー評論家の杉江松恋さんが「東野さんは・・・多くの読者はつかみましたが、なぜか文壇では評価されず。 この作品で、直木賞をよこしてみろという意気込みを感じますよ。」というコメントも寄せています。東野圭吾、他のを知らないから如何とも言いがたいけれど、確かにその通りなのだろうなと。「すごい」としか言いようがないですもん。愛の物語としても壮絶だし、ミステリーとしても「えーっ、それアリなの!?」って仕掛けが用意されているし。いやぁ……完敗です。読書でこんだけ脳が興奮したの、久しぶりです。1600円でこの快感は、お得、だ……。これも『ダカーポ』記事内にあった言葉だけれど、「読書って、安上がりでいいわ。」 つづきはこちら [0回]PR
2006/03/12 Category : Books 『グラビアン魂』みうらじゅん×リリー・フランキー グラビアは奥深い。ということを、とくと教え諭される1冊。この「参りましたっ ごめんなさいっっ!!」感は、『女子の生きざま』以来かも知れぬ……。もちろん男子向けの出版物です。が、今私の中で最も熱い男たち:二大巨頭のみうらじゅん&リリー・フランキーの両者が手掛けてるときたら、買うしかないわなコレ。『SPA!』の連載企画「グラビアン魂」をまとめた臨時増刊です。みうらじゅんとリリー・フランキーが、グラビアアイドルの既刊写真集を見ながら、「この子はこうした方が良いよね」「これはやらせちゃダメだよね」と、理想のグラビアを構想。その意見を反映したグラビアが撮られる……という、「男のロマン」な企画です。この増刊はグラビアだけでなく、その構想を練る対談も袋とじで付いています。むしろ対談のがメイン。感銘を受けたのはこの会話。(L:リリーさん M:みうらさん) つづきはこちら [0回]
2006/03/08 Category : Books 『ガール』奥田英郎 ガール帯コピーが秀逸。「30代。OL。文句ある?」でも実は作品の要点を的確に表しているのは、裏の「きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。 既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても。」だったりする。既婚・独身・バツイチ子持ち……いろんな立場だけど、「働く30代女性」という共通点を持った女性たちを描いた中編集。作者が男性ってこともあり、「三十女のホンネ」というよりは、「三十女にはこんな風に前向きでいてほしい」という姿勢の方が強いかも。扱われている言説もベタなものだし、どの話ものどかなハッピーエンドだし、作品としての目新しさは無いかな。でも読後感が爽やかです。文体の穏やかさもあり、読んでいて安心できる本でした。 [0回]
2006/03/05 Category : Books 『こんなにも恋はせつない』唯川恵選 こんなにも恋はせつない実はそんなに活字に耐性のある人間ではないので、短篇集の類は非常にありがたい。特にアンソロジーは、1冊分の価格で何人もの作家の作品が読めるので、得した気分になる。このアンソロジーはまず、執筆陣がすごい。江國香織、田辺聖子、林 真理子、山田詠美、唯川 恵 等々、当代の女流ビッグネームが並ぶ。加えて、内容がすごい。いずれの作品も、壮絶なギリギリの恋愛感情を描いている。少女が、相手の青年にとって「忘れられない子」になるためにとった行動を書き留めた、江國香織『焼却炉』。自分のためなら「何でも」する青年に、戸惑いつつも揺さぶられていく女性の心を緻密に追った、小池真理子『倒錯の庭』。全てが張り詰めたように危うく、狂おしい。しかし、須らく恋愛感情にはこういう側面があるのではないか、とも思わされる。思い詰める感情、という側面。選者の唯川恵自身も、後書き(むしろエッセイ)『恋愛――この割に合わないこと』の中で「まるで恋愛に柔らかく首を絞められるように、恍惚と恐怖に揺れる女性たちが登場するということで、心惹かれた作品ばかりを集めさせていただいた。」と述べている。「人魚姫」に端を発した、唯川氏独自の恋愛観も語られている。この後書きだけでも必見である。阿部定やサロメに共感してしまう女子の皆さまには、特にオススメ。男子の皆さまは、怖いもの見たさでドウゾ。 つづきはこちら [0回]
2006/02/27 Category : Books 『ハオトルミコ』やまだないと 毎度お馴染み、エロまんが家の(いや実際はたぶん違うんだけど)やまだないとですが。今回ご紹介するのはまんがでなしに、小説です。ラブコスメティックという女性向けアダルトグッズ通販サイトがあるのです。アダルトグッズというと響きがエグいですが、なかなかに爽やかで可愛らしいデザインのサイトです。そことやまだないとのコラボ企画なんですね。全4話で、メルマガで1日1話ずつ配信されます。ストーリーの方はメルマガ取っていただくとして……やまだないと、小説もイケんじゃん!?というのがとりあえずの感想。比喩が上手。企画の性質もあり、オナニーシーン・セックスシーンの描写が多いのですが、上手ぁく可愛らしく、かつエロく仕上げてあります。結末も、暗いわけじゃないけれど切なくて、「あぁ、やまだないとだなぁ」って感じ。やまだないと独自のオナニー観も披露されていて、「やっぱこの人エロのこときちんと考えてるな〜」という印象。「なるほど、そうくるか」みたいな。まんがと違って無料ですから、紫式子が絶賛してるやまだないとってどんなやつなんじゃいとお知りになりたい方は、これを機に読んでみてください。 [1回]