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紫式子日記

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『格闘する者に○』三浦しをん


格闘する者に○
格闘する者に○




京都で時間つぶさなきゃならなくなって、良い機会だし、と思って読んでみました。

親しい友だち(しかも2人)が好きな作家だし、出版業界への就活の話だし。



久しぶりに文の上手い作家を見たなぁ、という感じ。

比喩とかギャグとかが散りばめられているのに、すごく読みやすかったです。

相当書き慣れて(=読み慣れて)いる作家さんだな、という印象。



ストーリーは、就職は決まらず、恋人である西園寺さんも去ってしまい……という中途半端なところで終わっている感が否めませんが、タイトルの通り「格闘する者に○」をする物語だと考えれば、過不足ないのでしょう。

終盤、就職が決まらないかもしれないという会話の終わりに主人公・可南子が口にする

「たとえ『毎日が夏休み』になっても、自分を信じて生きていこうと思います」

ということばがすごく眩しいですね。

自分で自分を肯定できるようになる……というのは、就活のみならず、生活全般で身につけていきたい「技能」のひとつです、私にとっては。

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『見た目診断』おおたうに


見た目診断
見た目診断




おおたうには昔『リ・チェリーコーク』の記事書いたと思うんだけど、見つからない。

しっかり探してよ、googleサイト内検索。

で、そのとき本命として挙げたこちらの本が、この度手に入りました。



「人を見かけで判断するな」とは言われるし、それはそれで正しいのだけれど、人の見た目を構成する要素(ヘアスタイル・メイク・洋服etc)は、その人たちが無意識に選び取っているもの。

だとしたら、どんなものを選んでいるかを知ることで、「その人」がわかるんじゃないの? というコンセプトの下、編集されている本。

スタイル・職業・好きな色で女子を「見た目診断」し、それぞれのカテゴリーに所属する人々の特徴&その人たちとの上手い付き合い方が説明されています。

巻末の第4章は戦後日本のファッション史になっていて、ちょっとした風俗資料って感じ。

全ページフルカラーでおおたうにの挿絵入り。



ちょっと十把一絡げにしすぎ? って印象はありますけど、何ページかに1つ、激しく同意できるコメントがあったりなんかして、ツボに入ります。

あと、おおたうにの文章は読みにくいきらいがありますが、この本の文章(活字部分)に関しては編集部のライターさんが書いているので、そこんとこのマイナス点はナシです。



ちなみに私のお気に入りは「ピンクが好きな男」。

ピンク好きの某日吉キャンパス生がまんまコレなんだよね

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『ナショナリズムの克服』


ナショナリズムの克服
ナショナリズムの克服




取っ掛かりにする本に対談本を選ぶのは私の怠惰ゆえの悪癖でして。

とりあえず何か姜尚中先生の本を読みたかったのね。

でも(あの)某日吉キャンパス生すら本によっては挫折するという姜先生だからさ。

ビビってたんですよ。

で、ビビりにビビった結果、対談本。

これでも難しいと感じる自分の脳味噌が腹立たしい



内容も、だから実は整理できてないんだな、自分の中で。

とりあえず現段階での「感想」レベルのもの。。。



もちろんこの本でなされている主張が平衡を持ったものとは思わないし……そもそもこういう分野で「平衡」はありえないと思っているし……鵜呑みにはしませんが。

ただ、ピンポイントの一言一言、例えば「五族協和」をもじった「無族協和」とか、姜先生個人の「在日」としての体験とか、考えるヒントとして大事だなぁと思いましたね。

日本人は、欧米人の差別意識には敏感だけど自身の差別意識には鈍感だ、みたいな話とかね。

被害者意識 > 加害者意識 って図式(公式?)は矢張りあるんだろうな、って。



対談本ゆえ、根幹の主張が何なのとか、寄り道しすぎだとか、食い足りない印象も人によってはあるでしょうが、入門書のひとつとしては悪くないんじゃないかなぁという印象。

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『キッチン』吉本ばなな


キッチン
キッチン




あなたへ



吉本ばななの『キッチン』は読んだことある?

多分ないよね。

どこよりも台所が好きで、何よりも料理することが好きな女の子の話。



私は吉本ばななのファンという訳ではないけれど、高校のときの友達が薦めてくれたから、『キッチン』だけは読んでるんだ。

その子は(それこそあなたのように)頭が良くって、私の内面を見事に言い当てていくような、そういう子なんだけど……その子は「この主人公は式子だと思った」って薦めてくれたの。
その時は何となくその子の言った意味がわかったような、わからなかったような、半端な感じだったんだ。

でもさっき『キッチン』を読み返して、主人公と私の共通点に気付いたのね。

(高校時代のその子がそれを意識してたかどうかは確認の仕様がないけど。)



主人公は、両親とも祖父母とも死別して、天外孤独なの。

それでもう、潔いほど孤独なのね。

そして孤独ゆえに、ひとつひとつの事にすごく必死になるの。

それはすごく不安定で、平穏な幸福とは対極にあるんだけど、彼女は必死になってしまう。

しかもその状況を愛してしまってるの。

で、その必死さが投影されるのが台所であり、料理なんだけどね。



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『ヌードのポリティクス』笠原美智子


ヌードのポリティクス―女性写真家の仕事
ヌードのポリティクス―女性写真家の仕事




自分的夏休みの課題図書、1冊クリアしました。

これは面白かったです。

今日1日で読めちゃった。

ハードカバーこんなに速く読むの久しぶり。



相も変わらずフェミ本です。

長い間「男の理想美を反映したもの」だったヌードを「女にとっての自分の姿」として扱っている諸アーティストの紹介。

アーティスト&作品の羅列ではなく、社会学的・ジェンダー学的考察がメイン。



1940年以後に生まれた世代は、女性が女性独自の視点を獲得していると述べられています。



「あなたの身体は戦場である」と女性アーティスト、バーバラ・クルーガーはズバリと言ってのけた。

それは過去および現在における女の裸の利用と侵犯への認識であり、警句である。

ヌードにおける男と女の非対称性がやっと認識されたのは70年代以降である。

女の身体が一度として女のために描かれてこなかったことが認識され始めたのである。

そして女たちが自分の身体への主体性を回復するために様々に試み、様々な作品が生まれることになる。




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