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紫式子日記

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『空中庭園』角田光代


空中庭園
空中庭園




映画が公開されたあたりで一回手に取ったんだけど、何だか読みづらく感じて、今やっと読みました。

そいや映画も観ずじまいだ。。。



『キッドナップ・ツアー』と言い、この作品と言い……

すっごいな、この人。

痛いところ切り裂きまくり。

みーんな必死で、みーんな精一杯生きているのに、通じない・すれ違う・ずれあっている……。

そんな痛々しさをまっすぐ描くんです。

なのにコミカルで、ほのぼのしている。

というか、ほのぼのしているからこそ余計怖い。



おまけに上手いんです。

職人芸かと思わせるくらい。

これは短篇集なのですが、登場人物は共通しているんです。

ひとつの家族で、家族の各メンバーが各6話の語り部になっているんです。

角田光代にしてみれば1人6役なのですが、これが上手い。

価値観も主義も違う6人のことを、よくこんなにわかっているなー と。



これは偏見かもしれませんが、、、

男性作家が女性一人称で書くものより、女性作家が男性一人称で書くものの方がリアリティがあるかもしらん。

男性による女性一人称で見事だと思うのはスガシカオ『サナギ』くらいかな今のところ

作家じゃないけど

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『スローグッドバイ』石田衣良


スローグッドバイ
スローグッドバイ




『娼年』に引き続き、読んでみました石田衣良

一発で変換できないから、辞書登録しちゃったよ石田衣良

こちら、恋愛モノばかりの短篇集。

批評家ウケするのは『娼年』の方かもしれないけれど、一般の感覚として好まれるのはこっちかも。



「ちょっと甘口でもいいから、読み終わったあとで心地よい酔いを残すようなラブストーリーにしたいな。」

という本人のあとがきどおりの甘ぁ〜い仕上がりです。

石田衣良の作品って、やっぱちょっと照れくさいんだよな。

『娼年』もこれも、お酒片手にほろ酔い状態で読みました。

素面だと痒くって。。

ジェントルすぎるっつーか。

いちばん弱いところをくすぐられる感じ。

……モテるんだろうなー……。



痒い痒いと言いつつ、いちばん好きなのは? って訊かれると困る。

全作品とも、良い。

うーん、敢えて3つ上げるなら『泣かない』『フリフリ』『ローマンホリデイ』かな。

映画や仕草など、小道具の使い方が後引くタイプの作品ですね。



あと、女性一人称で書かれた『ハートレス』『線のよろこび』は、大塚英郎『ガール』とちょっとかぶった。

他人の生活にすごく想像力をめぐらせるっていう点で、創作姿勢が似てるんですよね、この2人。

でもやっぱり石田衣良は男性一人称が好きだなぁ。

感情の機微の描写が瑞々しくって。

「モテるんだろうなー……」

って感じするし・笑。

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『ぼっけえ恋愛道―志麻子の男ころがし』岩井志麻子


ぼっけえ恋愛道―志麻子の男ころがし
ぼっけえ恋愛道―志麻子の男ころがし




「ほっとくと式子はこの人みたいになっちゃう」

1年前、この本を見せられながら男友達に言われた台詞です。

1年のブランクを置いて自分でこの本を読み、なるほどと思いました。

なるほど、自分の文章を読んでいるように共感できるよ。

シモネタの度合いも似てるよね。

ココナッツジュースって先生。

あるいはマッコリね。

「日韓併合よりショック」とか、電車の中だったけど笑っちゃった。



いやもう出版物としての存在意義より、これだけ私に近い人間がこの世のなかに存在するっていうのに、嬉しくなっちゃった。

私の適職は《岩井志麻子》なのかもしれません。

出版物として存在することもすごいけどな。

太田出版にしかできない仕事、っていう。

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『ダンス・ダンス・ダンス』村上春樹


ダンス・ダンス・ダンス〈上〉



ハルキの創作は、高校生のときにあらかた読んだんですよ。

この『ダンス・ダンス・ダンス』を除いて。

なんでかって、うちの高校の図書館に文庫本がなかったからってだけのハナシなんですけどね。



という訳で、初期〜中期ハルキとは実に4年ぶりの再会です。

『スプートニク』『カフカ』『アフターダーク』も一応読んだけど。

やっぱり、

「これでこそハルキ!」

って気がしてしまう。



「ハルキの中では『ダンス・ダンス・ダンス』がいちばん好き」

って方を3人ほど知っているのですが、なるほど納得です。

ハルキ作品の中でも珍しく物事に一応の「けり」が着いているし、それなりにハッピーエンドだし。

キャラクターが多くて、かつ魅力的ですしね。

飲食のシーンが多くて濡れ場が少ないっていうのも好感度の理由かも。



ただ『ねじまき鳥』読後ほどのハッピー感はなかったです、私にとっては。

でもハルキ作品読み返したくなりました。

ちょっと時間足りないけどな。



あと、発見。

スガシカオをBGMにしてこの頃のハルキ作品を読むと、すごく合うよ。

すごく、合う。
オススメ。



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『花田編集長! 質問です。』花田紀凱


花田編集長!質問です。―出版という仕事で生きる
花田編集長!質問です。―出版という仕事で生きる




2日連続で出版社の選考を受け、ふらふらしていたところ。

つい、手に取ってしまいました。



『週刊文春』などを経、現在『編集会議』の編集長をしている花田氏が、読者からの質問に答えるというQ&A形式。

辛口の『白石さん』出版社バージョン、といった趣です。



現役の編集者・ライターからの質問もあり、ちょっと生々しい。

返品率・広告費・モデル代など、一般人は知る機会がない数字の話も出ており、興味深かったです。

出版社志望・編集者志望の就活生は、読むとモチベーションになるかも。



そして生和寛さんといいこの方といい、やっぱり編集者の書く文章はカッコいい

あとがきに痺れました。

文章が簡明・簡潔で、無駄がないんです。

ほんとカッコいい。

内容は編集者という職業の楽しさについて。

これまた必読。

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