2007/06/21 Category : Books 夏石鈴子『バイブを買いに』 バイブを買いに短篇集です。アタマ軽そうなタイトル&表紙ですし、じっさい前半の4作品は「エロカワイイ」で済ませても大丈夫そうな内容。セックスを通して、痛切なまでの「好き好き」を確認する、みたいな物語が並びます。文体も平易ですし。でもそれにダマされちゃいけない。5作目『ママ』で、母親に「あんたなんか産まなければよかった」と聞かされつづけて育ったエピソードが描かれてから、内容が一気に壮絶さを帯びます。後半『虫の女』から始まる3作品は連作で、恋人との子供を中絶したエピソードと、その後再び妊娠し、今度は産むと決心するところまで。この、中絶の場面がね。淡々とした文体で、病室の様子とか綿密に描写されてね。女性が読んだら、たぶん具合が悪くなる。敢えて読むことはないと思いますが、何かのめぐりあわせで「出会って」しまったら、読まざるをえない本かな、と思いました。 [0回]PR
2007/06/08 Category : Books 『13歳からの論理ノート』 13歳からの論理ノート「○○は昼寝がしたかった。だから、昼寝をしなかった。」といった「違和感のある」例文から始まり、帰納/演繹、三段論法、有効な理由付け、そして「論理的な文章の書き方」まで。「論理的な間違いを指摘する」ってやつが、有用だと感じました。国語の授業で、ネタとして使ったらいい本かもな、とも思います。本文に書いてあるのですが、日本には非論理的な文章が多いため、日本人はそれらを頭の中で補って、論理的に解釈してしまいがち。そして、自分も非論理的な文章を書いてしまいがち。それを防ぐ努力ができるようになります。いやぁ、身につまされますね・笑。この他にも、「自分が結論に賛成している場合、 非論理的でも気づかない」とか、はっとさせられる部分が2、3箇所。なんていうか、みんながこれを読めば、感情で突っ走るあたまのわるいけんかをしなくて済むようになる気がする。 ↑ 非論理的な文章。 いや、「非論理的な反論」の例として 「個人攻撃」「感情が根拠」ってのが 挙げられてるんですよ。 それって、ケンカの原因じゃん? て。ティーン向けだけあって、内容はコンパクト、レイアウトも読みやすいので、すぐに読めます。コピーは「30分で読めて一生あなたの役に立つ。」私は30分は無理でしたが、1時間ほどで読めました。あたまわるい発言をしたくない方、オススメ。 [0回]
2007/06/03 Category : Books 『こうばしい日々』江國香織 こうばしい日々なんでこんな大事件も大どんでんがえしもなくただ淡々と日々が続いていくだけなのに、こんなに面白いのかちら。江國香織ってやっぱすごいなー。日常の些細な感覚を、見落とすことなく拾って、つとめて正確に描写するっていうのは、考えてみたら幸田文に通じるかもなぁ。ところで。2ch発?でバカすぎて微笑ましい奴を「こうばしい」って形容したりするけれど、これが語源? ひょっとして。てか、うちのサークルだけか? 言うの。 [0回]
2007/06/03 Category : Books 『竹取物語』星新一 竹取物語星新一って実は読んだことなかったのですけれど、アタマいい人ですねー。本文の調子いい現代語訳もさることながら、「さて、ここで一息」と作者が出てきて、講じてくれる「豆知識」がタメになります。実はここ半月、中学校に教育実習に行っていて、その学級文庫にあって読み進めてた。私の担当教官になった先生は、教科書で原典「竹取物語」を扱うとき、これを副教材にしているらすぃです。 [0回]
2007/06/03 Category : Books 『火車』宮部みゆき 火車ミステリーって一度読んだらそれっきりなんで、あんま読まないのですけれど、これはたまたま読んだら面白かったのでメモ。ミステリー的要素である、トリック?とか推理の過程ももちろん面白いんですけど、人間の感情(特に「負」の)の描写が壮絶ですね。胃の辺りが重くなりました、久しぶりに。あと、カード使うのが恐くなった。 [0回]