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紫式子日記

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『花ざかりの森・憂国』三島由紀夫


花ざかりの森・憂国―自選短編集
三島 由紀夫
4101050023


昭和53年発行の紙が茶けたやつを、

父親の本棚から拝借して読んでたら

感 心 さ れ ま し た



・・・・・・( ・ω・)





流麗な文体も、

登場人物たちのやるせなさも、

平成になった今なお衰えていないのは

さすがミシマ。



『憂国』だけは映画観てすぐ

立ち読みしたんだけど、

改めて読み返して、

「あぁ、こうなりたかったんだろうなぁ……」

「実際、自決後の世ではどう見られてるかなぁ……」


と、思い巡らせてみたり。



森村泰昌がね、

三島由紀夫の自決を

「戦後日本のトラウマ」

みたいに言っていたんですよ。



確かに、なんとなく、言及するのが

はばかられてしまう話題
じゃないですか?

誰よりもまず、三島由紀夫の身内が

触れてほしがらなかったようなところがある。

そして日本全体が、そうなっていたような気がする。



ま、そこに敢えて触れようというのが、

いま森村泰昌がやってる試みなのですが……。



本の話に戻ると、ミシマ本人による

作品解説も付いています。

『憂国』については露骨に

力を入れて語っているので、

そちらも必見。

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『流れる』幸田文


流れる
幸田 文
4101116024


すっごくうっすい文庫本なのに、

読むのにめっさ時間使いました。

2週間とか、3週間?



たぶん「濃い」んだな。

描写の綿密さとか、的確さが。

歯ごたえのあるおせんべいみたいな。



それが短編だとちょうどいいんだけど、

長編になるとアゴが疲れる。

でも、食べてしまう。

滋養とか滋味とか、

そういうものを感じて。



ド名作だから、いまさらあらすじを

説明するまでもないけれど、

戦後、傾きかけの芸者屋に

泊り込みの女中として勤めだす、

幸田文の自伝的小説。



幸田文の作品って、

ストーリーから何かを得たり

感じたりするもんじゃない

私は思ってる。



だから彼女の作品には、オチがない。

いらない。

実際の生活だって、オチるもんじゃなく、

続いていくものだし。



仔細な表現からわかる、

幸田文の観察眼・感受性に

びびるために
、読んでいる。

あくまでも、私は。



この作品は、すごかった。

長編だけど、ダレることなく、全編を通して

芸者たちの浅ましさ・愚かさ、

そして愛しさが伝わってきた。



この人の精神力ってすごい。

疲れも飽くこともしらない、

人間ビデオカメラみたいだ。。。

と思う。

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『薬指の標本』小川洋子


薬指の標本
薬指の標本


おうわさはかねがね、

といった感じの本。



やっとこ読みまして。



なんか、オンナ版村上春樹みたいだと思った。

日常と異世界がひとつづきに

なっちゃってる感じが。



でもゴシック・ロマン的な雰囲気

(確かにこれはフランスを舞台に

映画化したくなる)とか、

エロティックな事柄への感性は

とても「女性」的というか、

「乙女」的というか。



うーん、でも

フランスの匂いがして、

なおかつハルキの

妹みたいな匂いがして、


っていう以外に、あまり

印象が残らないのが

難点といえば難点か。



ちょっと、そういう「雰囲気」が

鼻について、

主人公に共感したりとか、

しそびれた印象があります。

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『包む』幸田文


包む
包む


なんでだろう……



文章が明快だし、読みやすいのに、

読むのに2週間以上かかってる気が……

詰組みが狭いからか?



何をさておき幸田文。

私が唯一、はばかりやことわりなく

「好き」といえる作家。



特にエッセイが好きですねぃ。

父・幸田露伴にたたきこまれた

「仔細なくものを観る目」

「的確に描写する文章力」


そして、自らもその「目」と「筆」の

対象にしてしまうストイックさ。



表題作「包む」はやっぱりいい話なんですけど、

自身の容姿に対するコンプレックスが

窺える「きものの話」とか、

自身の浅ましさ・厭らしさを恥じ入る

孤児院の話なんかが、

個人的には好きです。



次は『月の塵』に挑戦です。

果たして。

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『1ポンドの悲しみ』石田衣良


1ポンドの悲しみ
1ポンドの悲しみ




ひさしぶりに石田衣良センセイ。

恋愛小説短篇集。



さいしょの作品は、

久しぶりの石田節だったからか

実際そうなのか、

どことなく文章がぎこちない感じ。



でもすぐにそのsweet&tenderな世界に慣れ、

後半はニヤニヤしながら読んでました。

えぇ、何か。



『スローグッドバイ』と比べて

「オトナの恋愛」を描いた、

というフレコミでしたが、

登場人物の年齢設定や

デートスポットが違うだけで、

あまり心情的な差は感じませんでした。

「石田衣良の」恋愛小説、

て感じ。



表題作がいちばん良かったです。

遠恋してるカップルなら、

少なからずグッとくるハズ。

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