2007/08/31 Category : Books 『流れる』幸田文 流れる幸田 文 すっごくうっすい文庫本なのに、読むのにめっさ時間使いました。2週間とか、3週間?たぶん「濃い」んだな。描写の綿密さとか、的確さが。歯ごたえのあるおせんべいみたいな。それが短編だとちょうどいいんだけど、長編になるとアゴが疲れる。でも、食べてしまう。滋養とか滋味とか、そういうものを感じて。ド名作だから、いまさらあらすじを説明するまでもないけれど、戦後、傾きかけの芸者屋に泊り込みの女中として勤めだす、幸田文の自伝的小説。幸田文の作品って、ストーリーから何かを得たり感じたりするもんじゃないと私は思ってる。だから彼女の作品には、オチがない。いらない。実際の生活だって、オチるもんじゃなく、続いていくものだし。仔細な表現からわかる、幸田文の観察眼・感受性にびびるために、読んでいる。あくまでも、私は。この作品は、すごかった。長編だけど、ダレることなく、全編を通して芸者たちの浅ましさ・愚かさ、そして愛しさが伝わってきた。この人の精神力ってすごい。疲れも飽くこともしらない、人間ビデオカメラみたいだ。。。と思う。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword