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紫式子日記

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『流れる』幸田文


流れる
幸田 文
4101116024


すっごくうっすい文庫本なのに、

読むのにめっさ時間使いました。

2週間とか、3週間?



たぶん「濃い」んだな。

描写の綿密さとか、的確さが。

歯ごたえのあるおせんべいみたいな。



それが短編だとちょうどいいんだけど、

長編になるとアゴが疲れる。

でも、食べてしまう。

滋養とか滋味とか、

そういうものを感じて。



ド名作だから、いまさらあらすじを

説明するまでもないけれど、

戦後、傾きかけの芸者屋に

泊り込みの女中として勤めだす、

幸田文の自伝的小説。



幸田文の作品って、

ストーリーから何かを得たり

感じたりするもんじゃない

私は思ってる。



だから彼女の作品には、オチがない。

いらない。

実際の生活だって、オチるもんじゃなく、

続いていくものだし。



仔細な表現からわかる、

幸田文の観察眼・感受性に

びびるために
、読んでいる。

あくまでも、私は。



この作品は、すごかった。

長編だけど、ダレることなく、全編を通して

芸者たちの浅ましさ・愚かさ、

そして愛しさが伝わってきた。



この人の精神力ってすごい。

疲れも飽くこともしらない、

人間ビデオカメラみたいだ。。。

と思う。

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