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紫式子日記

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『人質カノン』宮部みゆき



題名から勝手に誘拐モノの
ミステリだと思っていたのだが、
短編集でありました。

この人のって『火車』しか
読んだことないのですが、

すごく……「業」というか、
人間のもろさ・弱さ、
怨念みたいなものを書くのが
上手いなー、という印象が。


この本は短編ということもあり、
『火車』みたいに物事が
オオゴトにはなっていかないのですが、
『火車』が起こった背景といいますか……。

どの話にも、都市生活者の孤独や
孤立
が核としてあります。

それが決して個人的な問題に留まらず、
地域のコミュニケーションがあれば
防げたかもしれない犯罪、なんてのも
題材になっています。

なぜ、宮部みゆきはミステリ作家に
なろうと思ったのか。

それが窺えるような短編集です。

これを「防犯のために
地域コミュニティを再生」なんて
スローガンに使われたら、
それはそれでシラけるのですが。

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『B型自分の説明書』



チェックリスト形式で、
「B型の自分/あの人」の
特徴がつづられていく。

「4 いろいろな設定」から
ちょっとダレるというか、
キレ味が鈍る感じがあるけど、
前半のツボ突かれ感はたまらない。

(というか、そのダレ感自体がB型的。)


B型の人、B型の人と接している人たち全てに、
とりあえず立ち読みだけでもしてもらいたい本です。


いちばん「なるほど!」と思ったのは

 □ 血液型話はなんだかんだいってB型が載りやすい。
   盛り上がりやすい。

 □ だって、それ以外の人は血液型に執着しないから。



あえて言っとくと、

 □ 自分は絶対にこの本よりいい「説明書」が書けると思う。

 □ でも、書かない。めんどくさいもん。


って項目が必要だと思いました。

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『きまぐれロボット』星新一



避けていた訳ではなくて、
それこそたまたま読むきっかけが
無いままだった作家。

ショート・ショートとか、
単語だけは耳にしてたけどね。
及川光博も好きらしい。


トンチ話のような印象のものばかりで、正直
「お気に入り!」て事にはなりませんでしたが、
過去に存在したある人物の「知性」に
ダイレクトに触れられたような、
貴重な経験をした気分です。


理系の人の文章って面白いよね、特徴的で。

最初の一行「~博士は××な薬を発明した」が
「定義」「前提」になっていて、
以下はそれに基づく展開・結果、
最後の一行は考察。
うぅん、わかりやすい。

特にこれは発明家関係の物語ばかり
(それとも元々この人の話はそれが多いのか?)
だから、彼個人の科学観なんかも窺え、
興味深いです。


いちばん好きなのは悪意ある人が飲むと
顔がむらさき色になる薬の話かな。
ネコが宇宙人の相手をする話は、
ネコ好きの人なら思わず破顔一笑だと思う。

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『親指Pの修業時代 上』松浦 理英子



高校時代の恩師オススメ本、
のうちの1冊だった。


右足の親指が男性器に
変わってしまうという物語。

見掛けても何となく食指が動かなくて、
今まで読まずじまいだったんだけど、
ブックオフで100円だったので、試しに。


ナルホド面白いです。
男性器が出来たことで、主人公や
周囲の人間の性に対する見方が
浮き彫りになっていく過程が面白い。

もっと言っちゃうと、
最初の彼氏が彼女の親指に示す態度と、
それを見て主人公が抱く「違和感」がいい。

「フラワー・ショー」あたりになると、
なんだかおとぎ話的というか、
ぶっとびすぎてて感覚のリアルさが失われる。


結末気になるので「下」も読むつもりですけども。

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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』本谷有希子



表紙に山本直樹を起用するだけでもアレなのに
この次に出したやつが瀧波ユカリって、
そらあんたえらいもんだぞ
と。
ただものではないぞと。

思いつつも、映画化されたよーな
「メジャーな」本を読む私というのは
私的にいけすかなくて、けっきょく
今の今までビレバンでもスルーしてた本。


人がふだん「ふた」をしているクサいものを
容赦なく引きずり出す人
なんだ……と思った。
まぁそれやるのが作家の仕事なんだろうけど。

田舎の人間の、「浮いた人」を見る目。
自分をかっこいいと思い込んでいる
「田舎じゃそこそこかっこいい部類」のお兄ちゃん。
気を遣っていると口に出しながら
ぜんぜん気が利かないおばちゃん。

あぁ、いるいる……あるある……。
言いたかったことぜんぶ、
本谷有希子が言ってくれてスッキリする。


でもその「言いたかったこと」は

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