2008/03/11 Category : Books 『人質カノン』宮部みゆき 人質カノン (文春文庫)題名から勝手に誘拐モノのミステリだと思っていたのだが、短編集でありました。この人のって『火車』しか読んだことないのですが、すごく……「業」というか、人間のもろさ・弱さ、怨念みたいなものを書くのが上手いなー、という印象が。この本は短編ということもあり、『火車』みたいに物事がオオゴトにはなっていかないのですが、『火車』が起こった背景といいますか……。どの話にも、都市生活者の孤独や孤立が核としてあります。それが決して個人的な問題に留まらず、地域のコミュニケーションがあれば防げたかもしれない犯罪、なんてのも題材になっています。なぜ、宮部みゆきはミステリ作家になろうと思ったのか。それが窺えるような短編集です。これを「防犯のために地域コミュニティを再生」なんてスローガンに使われたら、それはそれでシラけるのですが。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword