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紫式子日記

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「やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」@東京都写真美術館


写美Webサイト
TOKYO SOURCE インタビューページ

20代~40代の女性が「自分の50年後」の理想なり予想なりをやなぎみわに伝え、
特殊メイクで「50年後」の姿を撮影する「マイ・グランドマザーズ」シリーズ。

元々やなぎみわの作品には「老婆」が多いのだけれど、今までのものは
モチーフとしての「老婆」というか、一般概念としての「老婆」という感じだった。
いろんなおとぎばなしに共通して出てくる「魔女」みたいなポジションの。

でも、今回は実在の、一般の女性たちが想像した「自分の50年後」で、
どの「おばあちゃん」もそれぞれキャラが立っていた。



印象に残っているのは、画面の外を見つめ、物思いに沈む表情の2作。

「次の私の肉体は、必ず私の手で作る」と決め、
人形制作に取り込む手を、ふと止めて考え込む《SHIZUKA》。
年老い、水分を失ってかさかさになった肉体の「軽さ」が、
喪失感よりも身軽さを帯びてきたということなのだろうか。

海外に住む友人を訪ねよう、と突然決心し、飛行機に飛び乗った《SACHIKO》。
窓側の席で朝日を見つめながら、己の存在の小ささに思いを馳せる。

この2作が目に留まったのは、私が、そうなっていたいからなんだろうな。
今までの人生とか、「今」の心地よさ、寂しさも含んでの気楽さ、
そういうものについて考えながら、じーっと何かを見るでもなく見つめていたい。

イヤ早く年取りたいですもん。
早く今くらいのことを「若い頃はねぇ……」って語りたいですもん。



そして気になったのは、「後継者」とか「次世代」を意識している人が多いこと。

占い師として自分の後継者にふさわしい少女を探し続ける《AI》、
海に沈んだ世界で、アマゾネスの女長老のように生きる《MIKA》、
人類がほとんど死に絶えた世界で予見をする《MIE》……。
そして、やなぎみわ自身も《MIWA》として、世界各地に養子を
迎えに行く旅に出ている。(なぜか衣装はメーテル!)

私はそこまで思いが至らないのだよなぁ。
自分のことしか考えられない。
というか、自分の現在にすらリアリティを感じていないからなぁ。



若い女子にとっては、「思いを馳せる」いい契機になるシリーズだと思うのだけれど、
彼女に連れられてきちゃった男子とか、リアルおばあちゃん(実際にいた)とかは
これを見てどう思うのだろう、と考えてしまった。かなり気になる。

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アンドリュー・ワイエス展 @愛知県美術館

Bunkamuraでやってたやつの巡回展。

Bunkamura 展示案内
愛知県美術館「現在の企画展」Webページ



中学の頃、画集で観てから「いちばん好きな画家」のひとり。

今回気付いたのだけれど、彼が描くメイン州やペンシルヴァニアの
風景って、私の地元に似てるんだよね(笑)
寒々しくて、枯れ草で覆われてる。



「できることなら私は自分の存在を消してしまって絵を描きたい。
あるのは私の手だけ、という具合に。」


この自意識薄すぎな発言を見て、なるほど……と思った。
ワイエスは自分に頓着しない。
ただ周りの物・人々だけを愛している。
対象を捉えようとする、ありのままに。

では彼の絵に見られるあの哀しさ、寂しさは何なのだろう。
「私は季節の中でも冬や秋が好きだ。
風景の中にある骨組みや孤独感、死に絶えたような雰囲気が感じられる。
何かがその下に隠れていて、物語の全ては明らかにされていない。
そんな気がするのだ。」


ワイエスの絵には「物語性」を感じる。
時間は静かにだけれど、確実に流れている、その感覚。
冬が過ぎれば春が来る。
ワイエスの絵は哀しく見えるけれど、春の訪れを待っているのかもしれない。



91歳、存命中(!)のワイエス自身が出演したインタビュー映像が個人的にヒット。

「感情的(emotional)なものと精神的(spiritual)なもの、
 2つが揃って完全だからね」

「アートにルールはまったくない。
 もしルールを作り出したら、危険だ」

「年を取っても何かが自分の想像力を刺激したら
 素早く行動すべきなんだ」

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『NINAGAWA WOMAN』蜷川 実花



いろんな女子を撮ってきた蜷川実花の、各タレント ベストショット集。

帯コピーが
「かっこいい女子は、国宝だと思います!」
なんだけど、私は貴女の腕こそが国宝、と思う。



蜷川実花の「いいなぁ」って思うポイントって、
もちろんアヴァンギャルドな衣装・メイクのセンスとか
毒々しいくらい鮮やかな色彩とかもそうなんだけど、何より
他のカメラマンが「させない」表情を、モデルにさせるところ。

「女子同士」だからなんかな。
モデルの女の子はすごくくつろいで、プライベートな表情をしているように見える。
高校時代に教室でふざけて撮りあう、携帯カメラの写真みたいに。

今回の写真集で私がびびったのは、中谷美紀。
なんだかすごく慈愛に満ちた、「お姉ちゃん」みたいな貌だった。
長女です、って雰囲気。弟や妹を見守ってます、みたいな。

あとはSHIHO。
正直今までSHIHOの良さってわかってなかったんだけど、
この写真集に収録されてる写真で、わかった気がする。
何にでもなれるんだね、この人。

美輪明宏様のお写真も入っております。
「女子」カウントです、そこんとこ宜しくお願いしますです。

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「液晶絵画 STILL/MOTION」@東京都写真美術館

展覧会Webページ

最終日、の前日、に行きました……。
東京を離れたことのいちばんのデメリットは、展覧会にいけないこと。まじで。



感想箇条書き。

●サム・テイラー = ウッド『スティル・ライフ』『リトル・デス』
前者は果物がカビていく過程、後者はウサギの死体が腐っていく過程の早送り映像。

上手く言えないが、すばらしい。
日本でいう「諸行無常」、西洋でいう「メメント・モリ」の正しい継承者だと思った。
ロンドン出身と知って、すごく納得した。ゴスと頽廃の街!!
たぶん、セザンヌが果物を描く際、腐るまで描き続けたという逸話にも基づいてるんだと思う。


●ドミニク・レイマン『YO LO VI(ゴヤ『異端審問』に倣って)』
「キた」。
服を脱がされ、三角帽をかぶせられた異端審問の被疑者がスクリーンに映し出されている。
スクリーン前はカメラで撮影されており、スクリーンをのぞく鑑賞者の姿が、数秒遅れでスクリーンに合成される。
鑑賞者は「被疑者の顔をのぞきこんでいる自分の姿」をスクリーンの中で見ることになる。

イヤ~な事件とか起こると、「後ろ指」っていうんですか、指すじゃないですか、私たち。
その自分たちの姿を見せ付けられる気分になる。


●森村泰昌『フェルメール研究(振り向く絵画)』
「真珠の耳飾りの少女」が、動く、振り向く。

ほぼ惰性で観に行っている感じのモリムラさんだけれど、ドキドキした。
森村さんは「見る/見られる」っていう支配関係ではなく
「見つめる」っていう愛情行為を推している人なんだけれど、
文字通り、ファンを、観客を見つめることにした感じの作品。

真珠の耳飾りの少女 通常版 空想主義的芸術家宣言


●ジュリアン・オピー『ペンダントをつけたキエラ』
この人の絵、かわいいんですよ! ロンドンのわたせせいぞう?♪

中でも『~キエラ』は、他の作品よりプライベートな感じというか、
女性の無防備な姿をとらえていて、なんだかドキッとする出来栄えでした。


●チウ・アンション『新山海経・二』
地上の都市は海に沈んで、宇宙ではけったいな生物が弱肉強食。
どうしてサム・テイラー=ウッドといい、この人といい、
映像を扱わせるとみんな主題が「諸行無常」みたいになるんだ。。。


●やなぎみわ『Fortunetelling』
さすが、いい「乙女ゴス」。やはりやなぎみわアツい。
っていうか動画だったの知らなかったーよ。はずかちい。

Elevator Girls Fairly Tale 老少女綺譚


●鷹野隆大『電動ぱらぱら2002/2008』
これ、いちばん面白かった!!
顔/上半身/下半身が分かれてる着せ替え、みたいなのあるじゃないですか。
あれの映像版。
だから顔と上半身と下半身の性別が食い違ったりする。
面白くて、ぎょっとする。
そしてこれもカメラが設置されていて、自分の顔が映りこむ仕掛けつき。



美しいに静止画も動画もないわね。
映像も立派にアートの一部だし、やはり映像でなければできないことがある。
その「でなければ~」を活用した作品が厳選されていた印象です。

「文学の触覚」展もそうだったんですけど、写美は
「鑑賞者参加型」と言いますか、「一部になれる」系の作品展示、上手いですね。
単純に、楽しかったです。

もちろんそれだけでなくて、「アートの力」と言いますか、
新しい一歩を切り開く視座、みたいのも与えてくれる。
いい展示だったと思います。

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緊縛ストラップ



アダルトな業界にたずさわっている知人たちが、
アダルトなイベントで売っていたと言って、
嬉々としてぶらさげてました。それが去年あたり。

本まで出ちゃって、いつの間にかメジャーになっていたんですねぇ。
私も何か一品買っておけばよかったなー。後悔役にも立たず。

下北沢経済新聞(2007-02-26)
 下北沢で「緊縛ストラップ」展−東京タワーも亀甲縛りに


kinbaku


画像にはないけど、ぱんだがえろくて好き。

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