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紫式子日記

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『アリスが落ちた穴の中』プレミエレポート(4/4 上映後)

長いので4分割してます。
1/4 上映前
2/4 作品
3/4 感想
4/4 上映後



質疑応答終了後、寺嶋さんが触発され、
この作品を撮るきっかけになったという
中村趫(なかむらきょう、きょうは走繞に喬)先生が
ロウズ・ファミリーの皆様を撮影した
写真集『FORGOTTEN GARDEN』を買うため、物販カウンターへ。
なんとギグルス王子自らお会計をしてくださいました。
ありがたやありがたや。
中村先生にはサインいただいちゃいましたよ!

清水さんとしばしおしゃべり。
マメ山田さんが本当に可愛かったという話で盛り上がりました。
ちなみにマメ山田さんを主役のアリスに起用するよう
寺嶋さんにアドバイスしたのは、ロウズ姫だったそうです。
ロウズ姫は他の方とのお話の中でマメ山田さんを
「あんなに美しい方見たことない!」
と絶賛していました。

また、今回のようなゴシック・ロリータ色が強い作品は
(映像に限らず)大阪・京都の方が受けがいいとも、
清水さんは仰っていました。

実はこの「京阪サブカルチャー強い説」は
森村泰昌についても言われていることで、
「大阪出身の森村には、東京にはない
 カウンター・カルチャーの素地があった」
的な評論を読んだことがあるのですよね。

「丁度いいバランス」に落ち着いてしまう
東京・東日本とは異なり、いい意味で
「半端ない」「過剰な」精神があるのかもしれません。

ちなみに、ロウズ・ファミリーの皆さんが
活動の拠点になさっているのも大阪ですし、
中村先生も京都のご出身です。
寺嶋さんも京都の芸大にお勤めだったらしい。



あと印象深かったのは、ロウズ・ファミリーの皆様と観客との距離感。

道化役だったキャンディマンさんは壇上から
ロリポップ・キャンディを観客に投げつけまくるし、
寺嶋さんが質問に答えている横で、皆して
駄目バレリーナ役の希世見(きよみ)さんをいじめまくってるし(笑)。

物販タイムもギグルス王子とロウズ姫は
物販カウンターでそれぞれ会計とサインしてるし、
その他のメンバーの皆さんはロビーではしゃぎまわったり
ファンの方とご歓談なさってたり。

イベント前の呼び込みも普段からなさっているようで、
ファンとの距離をすごく近しく保ってらっしゃる方たちなんだな、
と思いました。



いろんな方とお話できたり、
今まで知らなかったアーティストの方々を
知ることができて、お腹いっぱいな休日になりました。
寺嶋さん、こんな機会を作ってくださってありがとうございました!
&編集作業お疲れ様でした、ゆっくり休まれてください(´・ω・)w



お土産ズ。
中村先生がロウズ・ファミリーを撮った写真集、
オリジナルマッチ、午後3時缶バッヂ、おまけの荷札。

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『アリスが落ちた穴の中』プレミエレポート(3/4 感想・質疑応答)

長いので4分割してます。
1/4 上映前
2/4 作品
3/4 感想
4/4 上映後



観終わって初めに思ったのは、
「本当に60分だったの!?」
ということ。あっという間でした。
メリハリのついた編集と見事なBGMで
時間が経つのも忘れて見入っていた感覚です。

「現実にとって、夢とは何か」
このテーマは映画『パンズ・ラビリンス』でも
扱われていましたが、『パンズ~』とは異なり
その問が私たちの中に引っ掛けられ、
残されたような感触を覚えています。
「夢にとって、現実とは何か」
という視点も交えていましたね。

また、個人的に非常に興味深く思ったのが、
寺嶋さんが20世紀の映像文化全体を取り込んで
この作品を作り上げられていたこと。

2/4 作品にも書きましたが、作品全体は20世紀初頭、
戦前のサイレント映画の技法を模しています。
作中には世界大戦と思われる、戦場の記録映像が挿入されます。
俳優の演技・カット割りなどは、寺山修司の実験映画を連想させます。
画面もわざと荒くして、昭和の作品っぽくしていたようです。
これらの技術を使って、90年代から流行している
ゴシック・ロリータテイストの世界を
19世紀末イギリスを舞台として描き出す。
そのことが却って、非常に21世紀的な作品だと感じました。



上映後の質疑応答。

「最後のマメ山田さんの『夢がなければ生きてはいけない』の場面だけ
 非常に音声が荒かった。意図的なものか?」
という質問に、寺嶋さんは
「自分が学生時代に映像を学んでいた環境では
 機器のクオリティが高くなく、映像も音声も荒かった。
 その名残で、ノイズが掛かっていた方がしっくり来る場合がある。
 実はあの場面の音声はクリアなものを撮りなおしたが、
 比較した結果、ノイズだらけのものを採用した。」
といったことを答えられていました。
別途、物販タイムに
「現実世界であることを示すという意味もあった」
とも仰られていました。

何もかもクリアになった現在、ノイズは邪魔なものではなく
エフェクトのひとつだもんなー、などと思いながら聞いていました。

寺嶋さんは今回の作品を、中村趫先生の写真作品を映像化したい!
というところから着想なさったそうなのですが、
その中村先生の作品も土壁のようなテクスチャ
(寺嶋さんは「壁」「汚し」と仰られてたかな?)や、
褪せたような色彩加工が特徴になっています。

光や透明度、清潔さが増すほど闇や濁り、汚れが必要になるのだよ!!(?)



「人形を映像で使う上で工夫されることはありますか?」
という質問に、清水さんの回答。
「アニメーションで人形を使う場合は
 動いたりしないように関節を固定しなければいけないが、
 今回私の人形はスチール撮影された画像が
 アニメーションの素材として使用されていたので、
 そういったことを考慮する必要はなかった。」
「他の作家さんは人形が壊れてしまうことがあるので
 映像作品に使用されることを嫌がる傾向があるが、
 私は自分自身が映像出身なので映像作品に人形を
 使用されることは平気。今までも水に浮かべられたり、
 土に埋められたりしている(笑)」

ちなみに今回使われたアリスの人形は、この作品のために作ったのではなく、
企画が決定する前に個展で展示されていたものだったそうです。
この人形がまたね……絶妙な表情なんですよ、
何か考えていそうな、何も考えていなさそうな、
観る人次第で色々に受け取れる表情をしてて。



また、各出演者・スタッフに対する
「一番苦労したことは?」
という質問で、ロウズ・ファミリーの皆様は口を揃えて
「映像作品ゆえの難しさ」を挙げていました。

実はロウズ・ファミリーの皆様が本格的に
映像作品に出演されるのは今回が初めてだったそうです。
普段は舞台でのパフォーマンスをなさっていて、
物語を時系列に演じたりアドリブを多く
取り入れたりしているそうなのですが、
撮影の順序が物語どおりでないので、
各場面に感情移入することが難しかったと仰られていました。

それでも
「今後もこういった新しい試みは続けていきたい」
とギグルスさんは仰っていました。
ので、またこういう映像コラボが観られるかも……?

4/4 上映後 につづく

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『アリスが落ちた穴の中』プレミエレポート(2/4 作品)

長いので4分割してます。
1/4 上映前
2/4 作品
3/4 感想
4/4 上映後



作品は、ロウズ姫とギグルス王子が庭園で
甘やかに語らい合うシーンから始まる。
繰り広げられるエレガント・ゴシックな世界。

登場人物の音声は入らず、BGMと字幕で
会話の内容や雰囲気が描写されるサイレント映画の形式。
字幕に流される台詞は美文調。

「あちらの世界」の様子をギグルスに尋ねるロウズ。
「あちらの世界」=19世紀末、ヴィクトリア朝時代の
イギリスの様子を姫に説明するギグルス。

「あちらの世界」に興味を持つロウズに、
ギグルスは自分の能力で「あちらの世界」の未来を見せる。
挿入される戦争(世界大戦?)の記録映像。
ロウズはその醜さ・残虐さに嘆き悲しみ、
自らの眼球をえぐってしまう。

場面は地上の世界、人間の住む世界へ。
マメ山田氏演じるアリスの後ろ姿。
アリスは白兎を追って穴に落ちる。
(ここで、清水真里さんの人形が
アニメーションで使用される。)


白兎が入っていったのは、ロウズたちの城。
鍵穴から中の様子を覗き込むアリス。
ロウズ、ギグルス、閣下たち
「地底の住人」が勢ぞろいしている。

彼らはアリスの臭いに気づき、
ドアの影からアリスを引きずり出す。
醜く愚かで、ロウズが眼球をえぐる原因を作った「人間」。
(この辺りで挿入される、ヴィクトリア朝時代の
イラストレーションをコラージュして作成された
アニメーションが非常に秀逸。
早稲田松竹の「上映前の注意」の凄いバージョン。)


ギグルスは憎悪を叫ぶと共に、
人間たちの「夢」を食べて生きる自分たちは
人間なしでは生きられないというパラドックスを明かす。

アリスに興味を持ったロウズは、
自分たちの住む世界のことを説明する。
ここは永遠の午後3時、永遠に続くお茶会の幸福な時間。

アリスはロウズこそが、自分が探していた相手、
自分を永遠に愛し、大切にしてくれる相手だと考える。
地上でのアリスは孤独だ。
すでに老女でありながら、いつまで経っても少女の身体。
ずっと昔から、様々な家をたらい回しにされている。
アリスは自分を見つめつづけ、忘れないでくれる相手を求めていた。

アリスの望みに応えるため、アリスの魔法で視力を回復するロウズ。
アリスの愛らしい姿をその目で見、ロウズはアリスに永遠の愛を約束し、
地底の新たな住人として受け入れることを宣言する。
仲間が増えたこととロウズの目が戻ってきたこととを祝う、盛大なお茶会。

アリスはお礼に、ロウズたちを地上に招待する。
しかし地底での生活に馴れたロウズたちは、日の光に焼け死んでしまった。
絶叫するアリス。暗転。

場面はアリスの部屋に。
床に散らばるおもちゃと、アリス自身にそっくりの人形。
アリスは何も印刷されていない、真っ白な絵本をめくりながら
「夢がなければ、生きてはいけない……」
とつぶやく。
すべてはアリスの描いた夢であり、
ギグルスの言葉はアリス自身の言葉だったのだ。
音声も、ここでだけ俳優の肉声が使われている。

3/4 感想 につづく

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『アリスが落ちた穴の中』プレミエレポート(1/4 上映前)

えーっと、★前の記事でご紹介した
『アリスが落ちた穴の中』、観に行って参りました。
作品鑑賞だけでなくその前後もいろいろ充実していたので
ぜんぶ書いてたらバカ長くなっちゃいました(´・ω・)

読みやすいように4分割します。
1/4 上映前
2/4 作品
3/4 感想
4/4 上映後



【上映前】
13:40頃、栄の愛知芸術文化センターに着く。
目的は映像作家・★寺嶋真里さんの『アリスが落ちた穴の中』。

会場が「アートスペースA」ということは知っていたが、
何階にあるかがわからず正面玄関の案内図を見ていたところに
突如ヴィクトリア時代風の衣装に、白塗りのメイクをした一団が
「名古屋シネマテーク」のチラシの束を持って現れた。

『アリスが落ちた穴の中』に出演なさっている
Rose de Reficul et Guiggles
 (ロウズ・ド・レフィクァル・エ・ギグルス)
の皆様だ。
(※以下「ロウズ・ファミリー」と呼ばせていただきます。)
すごい、自ら呼び込みをやるんだ……と感嘆しながら、
先頭切ってチラシを配るロウズ姫に会場を尋ねるわたくし。
「会場12階です。
 エレベーター等があるので、お使いになってください」
と丁寧に指南してくださる姫。
デコルテの下部、胸の上に彫られた左右対称の刺青に刹那、うっとりとする。

12階、アートスペースA。
会場前に物販カウンターが出来ており、
監督の寺嶋さんと人形作家の★清水真理さんが立ってらっしゃった。
私の姿を認めるなり、
「しきこさーん!!」
と手を振ってくださった寺嶋さん。
私もきゃーきゃー言いながら走り寄る。
清水さんにご紹介いただき、下でロウズ・ファミリーの皆様が
呼び込みをなさっていた話などをする。

会場に入ると、ゴシック・ロリータテイストの服装の女性が目立つ。
名古屋の街でゴスロリ"な"方たちを見かけることはそうそう無いので、
彼女たちはふだんどこにいるのだろう、などと邪推する。
(名鉄パッセと名古屋パルコの特定フロアでは見るんですけどね。
ブランドショップがあるから。)


椅子に座り、上映までの時間を
アートフィルム・フェスティバルのパンフレットを見て過ごす。
表紙をめくったところに、1ページまるまる西村智弘氏の評論
『寺嶋真里のゴシックでアンダーグラウンドな系譜』が載っていておののく。
私は寺嶋さんと東京でたまたま出会い、(なぜか)懇意にしていただいてるのだが
いや本当、すごい方とお近付きにならせていただいたのだなぁと痛み入る。

西村氏の評論を締めくくる
「映像作家としての寺嶋は、20年代のシュルレアリスム映画を祖母、
 60年代のアンダーグラウンド映画を母としてもち、
 80年代のアンダーグラウンド・カルチャーから生まれた娘である。
 そしてこの娘が、2000年代末のアンダーグラウンド世界に
 生みだした子供が『アリスが落ちた穴の中』だといえるだろう。」

という一節に目が留まる。
私は個人的に、年代・世代によって個人が受ける影響というものを強く意識する。
これは卒論のテーマにした森村泰昌という美術家の影響が大きい。
彼は過去の絵画・写真芸術を自己の身体で再現し
時代・世代を超越して"受け継ぐ"ことを強調した作風で知られている。

時間になり、緊張した面持ちの寺嶋さんと、
寺嶋さんにエスコートされたロウズ姫とが壇上で挨拶。
ロウズ姫のメイクはアラステアの描く人物のよう。

2/4 作品 につづく

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