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紫式子日記

メインが耽美系アート・映画・絵画から、文房具・ライフハックに移行しています。だいぶ世俗化しました……。
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文学フリマ事務局代表・望月倫彦氏トークショー(於「奇刊クリルタイ Presents ミニコミフリマ@名古屋」)レポート #MFNAGOYA

本日2011年4月3日「奇刊クリルタイ Presents ミニコミフリマ@名古屋」という催しが開かれました。
その中の企画として文学フリマ事務局代表・望月倫彦氏によるトークショーが開催されました。
望月氏と聞き手の奇刊クリルタイ編集長・republic1963氏にプロレスという共通の趣味があることが冒頭で判明したこともあり、トークショーは終始和やかな雰囲気の中行われました。
内容も充実しており、観客一同、楽しく面白く聴かせていただきました。

以下、私のノートからのレポートです。



●文学フリマのはじまり
・笙野頼子と大塚英志の純文学論争 
・大塚英志「文学って売れてないよね」→笙野頼子「文学は芸術であり、売上で評価すべきでない」
・『群像』2002年6月号に大塚英志の反論として『不良債権としての「文学」』を掲載。その中で「既存の流通システムの外に文学の市場を作ることを実践するため、コミケの純文学版のようなものをやる」と呼びかけたのが発端。

●大塚英志の文学フリマの構想
・コミケの純文学版のようなものというアイデア自体は、大塚英志も以前から持っていた。
・大塚英志には「理詰めで作品は作れる」という主張がある。「小説作法」のような授業を専門学校でやっている。それで新書も出ている。(『キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」』『ストーリーメーカー 創作のための物語論』)
・文学フリマもそういった流れと無関係ではないと思う。

●大塚英志本人の文学フリマの運営からの退任
・大塚英志本人は文学フリマの運営は初回で退任している。
・元々『群像』で「一回限り」と宣言していたから。二回目以降は有志に、というのは初めからのスタンス。
・宣言していたというだけでなく、大塚英志がずっと関わっていたら、意味がなかったかもしれない。大塚英志の手を離れても続いたことによって、大塚英志が発案したイベントは需要があったことの証明になった。
・笙野頼子は二回目以降手を引いたことを批判しているが、関わりつづけたら続けたで批判されたのではないか。

・望月代表は『群像』の第一回文学フリマ参加への呼びかけに応じた一人。そして二回目以降の運営に名乗りを上げた。

●第一回文学フリマ(於青山ブックセンター)の雰囲気
・正確には青山ブックセンターに併設する「カルチャーサロン青山」で開かれた。
・会議室がいくつもつながっているような施設。普段はカルチャースクールやサイン会の会場に使われている。
・会場は90ブースが限界くらいの面積で、5部屋に分割されていた。
・青山ブックセンターに併設されていたので「何をやっているだろう?」と覗いてくれるお客さんが多く、人は途切れなかった。
・佐藤友哉 西尾維新 舞城王太郎 が共著で同人誌を出し、佐藤友哉本人が売り子をしていた。そのブースには100人くらいが朝一番で行列を作っていた。
・上記のようなこともあって、メディアに取り上げられた。
・第一回目が「閑散としてたね~」だったら第二回目の開催も危うかった。文学フリマがその後続いたのにはのは、佐藤友哉パワーも貢献してる。

●文学フリマ=創作がメイン?
・割合としては創作が多いし、話題になるのもプロ小説家の出展などだが(※)、評論も初期から売られていた。
(※)第四回文学フリマで、桜庭一樹と桜坂洋がコラボした同人誌が販売された。行列ができ、500部が会場1時間で完売した。
・東浩紀のインタビューが載った評論がはてダ界隈で話題になったりして、必ずしも小説一辺倒ではなかった。当時ははてダが最先端のインターネットサービスで、影響力が強かった。

●ゼロアカ道場の文フリ内での位置づけ
・東浩紀にとっては黒歴史かもしれないが、文フリにとっては大成功だった。
・ゼロアカ道場自体は完結していない(※)から、今は最終的な評価ができない。
(※)優勝者が講談社で1万部デビューというのがゴールだったのだが、肝心のその本がまだ出版されておらず、黒歴史として扱われてる。
・ゼロアカ道場とは、批評家育成コンペ、言うなれば「誌上朝生」みたいなもの。第四関門で、戦う10人が2人1組の5チームになって同人誌を作り、文フリでの売上を競った。さらに飛び入りの3チームが加わり、最終的に8チームで競った。
・結果としては5/8チームが500部完売、他の3チームも400部超だった。文フリの動員人数としても過去最大だった。たった5時間で3600部が売れるというのは一般書店でも考えられない実績。
・「同人誌でも500部売れるんだ」「評論を買いに来る人ってこんなにいっぱいいるんだ」「1000人くらいを同人誌を買いに来るという行為に走らせた」といったインパクトで、ミニコミ的なものへの世間の興味を喚起した。
・ゼロアカ道場本体とは別問題で文フリにとっての大成功。ゼロアカ道場としても、文フリでの戦いが一番の盛り上がりだったように思う。

●動員人数の意識
・目玉になるブースは、毎回何かしら作りたいと思っている。
・過去にも活字系のイベントはあったがことごとくなくなっていった。
・一番の問題はお客さんを動員しなければ、ブースを出展してる人たち同士がお互いに買い合うだけになる。それではマンネリになってしまい、参加のモチベーションにならない。
・買う専門のお客さん(自分は出展しない)を呼ぶことが最大のモチベーションになると思う。だからブース数とは違う意味で、動員数は意識してる。
・一般客が増えてもブースの売上が上がるだけでイベントの利益にはならないが、こういったイベントを続けていくには一般客を動員することが必須。一般客が来ないイベントには、出展者も魅力を感じてくれないから。

●他の文章系ミニコミだけで構成された即売会
・今は文フリしか選択肢がない、代替イベントがないのは文フリに参加者を集中させるメリットでもあるが、あぶれたサークルの受け皿がないというデメリットでもある。
・ラノベオンリー、評論オンリーがあってもいいと思うが、規模が小さすぎて継続性が難しいかもしれない。

●「コミケと一緒にされるのは困る」
・イベントの形態としては一緒だが、取り巻く状況が違う。
・コミケと他のコミック同人誌即売会も桁違い。コミケは世界最大の屋内イベント。参加者も動員数も比較にならない。成功させるために制約が多い。それらの制約を単純に他のイベントには当てはめることはできない。
・申込書を購入させる、ボランティアスタッフがボランティア経験3回未満だと若葉マークを付けさせられる、ボランティアスタッフがプロの警備員と同じことをやらされる等の決まりは、他のイベントでは考えられないが、コミケなら「仕方ない」と済まされている。
・同人誌業界は逆ピラミッド。いちばん上のコミケがいちばん大きい。オンリーイベントなど小規模になればなるほど動員数も少ないし回数も少ない。まさにビックサイトの建物の形状が業界の縮図になっている。1000のオンリーイベントがあってもコミケの参加者の受け皿たりえない。
・文フリ参加者からも「コミケのようにオペレーションしてほしい」という声があるが、積み重ねて来た歴史がちがう。普通の主催者、参加者がコミケのメソッドを実現できるかというとたぶん無理。
・「コミケファシズム」とでも言うべきものがあり、それを押し付けられると主催者側がつらくなる。
・コミケには、喩えて言うなら「フジロックにTシャツとジーンズだけで来ちゃうような初心者」もいる。特殊性は明らか。さらにコミケの参加者は増加傾向にある。

●「文芸同人界が盛り上がっている」のか?
・文芸同人だけでなく同人界全体が盛り上がって来ている。創作漫画のコミティア、音楽・音声のM3等。それらの盛り上がりを抜きに評論同人の盛り上がりを語ると、流れを見間違う。

●「同人誌」「ミニコミ」という呼び名
・日本で「同人」というとコミケ・マンガのイメージ。もっと言うと、成人向け二次創作マンガのことと取られてしまうこともあるので「ミニコミ」「リトルプレス」と呼ばれるのではないか。
・「リトルプレス」は示す範囲が既に確立されていて、なんだか違う気がする。
・「インディーズ」は音楽用語だし……。
・「ミニコミ」は受け皿の広い包括的な言葉なので使いやすい。「間違ってはいない」という感じ。

●文フリで想定してる参加者
・参加者要項は「あなたが文学だと思うものなら何でもOK」
・「何をもって文学なのか?」万人が納得行く定義は無理なので基準をゆるくしてある。
・一方、「文学」という言葉の重さにびびってしまい、自分の作品内容を説明した上で参加可能かどうかを確認してくる参加者もいる。
・若干の敷居の高さが「文学」という言葉そのものに含まれてしまっている。非常に大きな命題を参加者に突きつけてしまっているのが、即売会イベントとして特殊な点だと思う。
・以上のようなことがあるので、想定している参加者は、老若男女ウェルカム。とはいえ、現実問題、フットワークの軽い若年層が多くなるとは想定している。しかし若い人たちだけに向けたイベントというつもりはない。
・あとは市場淘汰に任せている。売れないジャンルは出展しなくなるはず。例えば普通のマンガを置いても売れない、または「マンガを置くような雰囲気ではない」と出展者側が判断すれば、マンガの割合が増えることはない。
・マンガNGと明確に言ってはいない。「これはNG」と主催側が決めてしまうと「文学」というものにジャッジを下さなければならないから。

●評論ミニコミの新規参加
・文学において小説・詩等の創作は花形だが、評論は売上を期待できなくて出版されないことが多く、読み手に届きにくい。
・文フリはそういった評論にとっての「発表の場」「想定する読者に届ける場」にしやすい。
・「文フリは評論ばっか」と言われても順番が逆。「評論を出しやすいのが文フリ」
・小説や詩は逆に読者を想定しにくいので、ゼロアカ的なムーブメントにつながらないのではないか。
・そもそも大塚英志が言い出したイベントなので、評論はもともと文フリに多い。
・しかし個人サークルで評論というのは難しい。多人数でやることで磨かれる性質があるから。そのためサークルが分裂し、次回以降はそのメンバーの一部が出展するようなこともある。新参加者だと思いきや、メンバーは古参だったりする。
・一般書店やAmazonに卸してるサークルにとっては、中抜き無しの現金が入ってくるという魅力もある(笑)

●文フリの今後
・2011年6月の参加申込数は前回と横ばい。地震の影響もあるかも(※3/11が応募〆切だった)。帰宅難民を想定し〆切を1日だけ延ばした。それ以上延ばしたら申込件数が増えて、抽選が発生したと思う。

・2011年12月は東京流通センターで開催する。会場が広くなる。
・いろんな会場に開催を断られるので、選択肢は限られはする。もちろん会場のキャパが大きければ大きいほど選択肢は狭まる。
・即売会にとって、開催会場を確保するのは難関。会場が押さえられなくて開催中止するイベントもあるほど。
・東京流通センターはアクセスは悪いかもしれないが、リーズナブルだし予約もしやすい。
・東京都産業貿易センターも候補に上がったが、年間20日間しか同人誌即売会に割いてはいけないと決まっており、競争率が高い。複数フロアがあるので、どんなイベントとバッティングするかわからない不安もある。
・サンシャインシティも候補に上がったが、立地が最高な分、料金が高かった。
・先数回の開催は、東京流通センターで落ち着けると思っている。

・今年で10周年、3000人超動員。
・動員数は年々増えているが、無限に増えはしないので、ロードマップもそれを考慮に入れて描いている。
・コミティアは10年間、参加サークル数700~800だったのが、突如3000サークル参加するイベントになった。同人業界の盛り上がりの一端だと見ている。
・文フリも参加サークル数は10年間くらい1000サークルくらいで推移すると予想して、2011年12月以降の開催を東京流通センターに決めた。
・受け皿になる評論オンリー、ラノベオンリーイベントが2~3出てきたら、文フリのサークル数増加は横ばいになるかもしれない。

・もしもっと規模が大きくなり、ビックサイトでやらなきゃならなくなったら、望月代表個人としてはGEISAIと同日開催にしたい。来客層がカブっていると思うから。コラボをしても面白そう。
・GEISAI主催の村上隆氏はアンチも多いが、「アンチがいない」=「どうでもいい」ということなので、物議を醸す部分をイベントが持っていないといけないと思う。フックが作れない。マンネリ化の第一歩のように思う。
・熱いものがあるから反対意見が出る。ヌルければ無反応、スルーで終わる。
・主催者として何か言われることを引き受ける覚悟はある。だからゼロアカとかも受け入れた。

●今の文フリに足りないもの
・「文フリ出身の有名人」。批評家でも小説家でも詩人でもいいのだが。
・キャリアプランのひとつとして位置付けられるようになれれば。「デビュー前に修行しました」といった具合に。そうなることで「文学」というものへも貢献できると思う。

●趣味としての「ミニコミ作り」
・(もっと普通の趣味として扱われてほしい、皆もっとどんどんやってほしい、というrepublic1963氏の発言を受けて)
・今はミニコミ出版が「趣味でできること」になった。編集はPCで完結するし、DTPソフトも安価になった。
・共同出版(文芸社、碧天舎、新風舎等の事業)の衰退は、詐欺まがいだった等いろいろな理由があるだろうが、出版に掛かる費用が下がってきたのも一因のはず。Amazonにも4万円払えば出品できる時代。

●電子書籍の影響
・電子書籍が出てきても文フリは盛り下がらなかった。
(※紫式子メモ:第九回文学フリマでは、電子書籍を販売しているサークルもあった。)
・電子書籍を出した後、紙の本も出してみよう、という流れもこれから出てくるのではないか。



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残念ながらこれが私です。

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