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紫式子日記

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映画『蝶の舌』


蝶の舌
蝶の舌


★アスミック・エース「蝶の舌」オフィシャル・サイト



なんつーかもう、つらくってね〜……



観てるのが。



オープニングの陰鬱な音楽と、

スペイン内戦(?)の悲痛な記録写真。

主人公の兄の、実らない初恋。

殺される犬。


牧歌的な風景が大部分を占めつつも、

不吉な予感は、常にこの映画を支配する。



ストーリーは、しごく単純明快。

しかし、エンディングに織り込まれた

登場人物の心境の複雑さで、

観終わった後は

しばらく何も考えられなかった。




敬愛する先生が、

共和派取締りのトラックに乗せられ、

家畜のように連れ去られていく。



主人公の少年は、

父親も共和派だったこともあり、

カムフラージュのため

侮辱の言葉を掛けるよう、

母親に促される。



少年は力の限り叫ぶ。

「アカ! 不信心者!」

まるで愛する人に「さよなら」を

叫ぶように、トラックを追う。



そして混ざる叫び。

「ティロノリンコ! 蝶の舌!」

先生が教えてくれた、

大自然の素晴らしいものたち。






これ、年老いた主人公が

少年時代を回想してるとか

そういう作りだったら、

まだ気持ちの行き場があったんだけど、

いかんせんホントーに

このエンディングで終わってるから、

「この子はこのまま

 この心の傷を抱えて

 どうやって生きていくんだろう」

「どうやって乗り越えて

 いけるんだろう」


ってとこまで考えちゃう、

後味の悪さなのだな。

うーん、上手い映画です。

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