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紫式子日記

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『フリーダ』


フリーダ DTS特別版
フリーダ DTS特別版



フリーダ・カーロの伝記映画を観ました。

フリーダ・カーロ、ニキ・ド・サンファル、草間弥生は敬愛する女流アーティスト御三家だなぁ。

彼女たちに共通するのは、情熱的で、否定的であれ肯定的であれ、への執着がものすごく強いこと。

そして、それにもかかわらず、才能がそれら執着を上回って、表現という形で昇華してしまっていること。



この映画は女性が監督ということもあり、そこんとこをちゃんと描いていて好感が持てました。

「女流画家の一生」というより、「オンナの生き様」といった方がしっくり来るほど。

実際、フリーダ・カーロがそういう生き方をしたからなのでしょうけど。



フリーダ・カーロは実在したメキシコの女性画家。

情熱的かつ内省的な作風で知られています。

夫は画家のディエゴ・リベラでした。

この映画では、彼女が高校生だったときのリベラとの出会いから、夫婦として暮らし、死を迎えるまでの30年間を描いています。

どちらかというと、アートの映画というより、2人の物語といった感じ。

交通事故で脚に障害を負ったフリーダは、一生のほとんどを肉体的な苦痛に見舞われて過ごします。

加えてリベラの女癖の悪さにより、精神的な苦痛をも背負うことに。

リベラがフリーダの妹・クリスティナと関係を持ったことでそれは決定的になり、フリーダも復讐するように不倫をし、一度は離婚します。

それでも政治的思想、芸術家としての互いへの敬意、何よりも深い愛で結ばれていた2人は復縁し、フリーダの死に至るまで生活を共にします。

痛々しさ・憎らしさ優しさ・愛情深さとがせめぎ合う、まさにフリーダの作品のような物語。



映画そのものは、前述した点以外でも秀逸な作品です。

なんていうか、映画作りのお手本にしたいような作品。

暗示寓意・象徴が端々まで散りばめられていて、味わいどころが多いです。



編集が巧み。

2時間で30年間を描いているのに、冗長さもせっかちさも感じられません。



脚本も良かったなぁ。

映像やBGMと足し算した和が丁度いいんですよ。

伝記映画という性質上、実際に交わされた会話や背景を説明する台詞などの制約があるんですが、それらが鬱陶しくなかったですからね。

フリーダのブラック・ジョークにも注目。

どんなにどん底にあっても、ユーモアのセンスが光っています。



もちろん、映像も。

心象描写で暗い色調のシーンもありますが、大部分はフリーダの絵画そのもの、鮮やかな油彩画のようなタッチです。

構図が的確。

ダンスやパーティー、酒場でのシーンなどの臨場感は迫力あります。

監督自身によるコメンタリーによると、手持ちカメラやハンディカムを駆使したようですね。



何より、音楽!!

舞台がメキシコというだけあって、全編に流れるラテン音楽。

ドラマティックな展開と相まって、胸を揺さぶります。

もちろん、フリーダの情熱的な人となりを表しているのは言うまでもない。



あと、実際の絵画と映像とが融け合うような特殊効果も面白かったですね。

自画像のフリーダが動いたりするんですよ。

その場で絵画にならなくても、知っている人が観れば

「あ、これあの絵のモチーフだ」

ってわかるようなシーンがいくつも挟み込まれています。

アート好きには倍オイシイ映画。

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