2006/01/22 Category : Books 『上海ベイビー』衛慧 上海ベイビー近代中国文学のレポートでの題材にするために。時間との兼ね合いもあったとはいえ、一晩で読破できました。上海に住むウェイトレス兼作家・ココが、不能の恋人に心を満たされる一方、妻子あるドイツ人との情事に身を焦がすというのが、話の軸。そしてそこに関わる、「上海らしい(と形容して良いのでしょう)」ちょっと煩雑で猥雑な脇役たち。性描写に関して、本国では発禁になったらしいですが、日本では「ヌルい」方です。感覚としては山田詠美と近いかな。性交に「交感」とか巫術的なものを絡めるのは田口ランディぽいし。いずれにしても、恐らく私が「好きそう」と思われるタイプの小説なんだろうなと思います。確かに読みやすかったです。でも新鮮味はというと、あまり感じられなかったですね。結末もなんだか凡庸だし。ただ現代上海の、古今東西有象無象、いろんなものがいっしょくたになって詰まっているような雰囲気を味わえます。「解放後(と言うと言葉が歴史的すぎるのかな)」の世代(=新人類?)たちの価値観を知る資料のひとつにもなっているんじゃないかと。日本で言うところの、高度経済成長期前/後みたいな断絶があるように思えました。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword