忍者ブログ

紫式子日記

Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > Art > 「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展


東京国立近代美術館展覧会情報


アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶


「Pen」に国立近代でやってるよー

というのが書いてあって、

慌てて馳せ参じた。

Pen (ペン) 2007年 7/1号 [雑誌]
Pen (ペン) 2007年 7/1号 [雑誌]


「マグナム」展のことも

以前取り上げたけれど、

今回のはブレッソン単独です。



さすが、作品数がハンパない。





見所は本舗初公開の

ヴィンテージ・プリントかもしれません。

ブレッソン自ら現像した

プリントがほとんど。

だから、彼自身の解釈を

もっとも的確に反映した

プリント
といえましょう。

それは、グレーがかっていて、

どこかぼんやりと溶けそうに、

優しい印象のものでした。





展示構成は、撮影現場となった国々別。

これはフォト・ジャーナリストとしての

彼の生き方を重視しての構成といえます。

見比べて思うのが、

どれも確かに「ブレッソンらしい」のですが、

それと同じくらい「その国らしい」



これはひとえに、

ブレッソンがそこに暮らす「人々」

大切に観ていたからではないかと思います。



写されている景色や人々は、

どこかコミカルで、少し物悲しい。

特にアメリカの写真には、

ロックウェルのイラストと

似た部分を感じました。



とはいえこの構成はあまり後味が残らず、

国立近代美術館の展示にしては

やや物足りない印象も受けました。

どうやら世界各地を巡業している展示で、

国立近代オリジナルの構成では

なかったようです。

印象的だったのは、

展示会場に散らされた

名言の数々。



「造形芸術にとっての幾何学は、

 作家にとっての文法である。」
(アポリネール)

この言葉は「モダニズムの美学」を

的確に言いえていると思います。

「モダニズムの美学」については

「MONET」展のエントリで

触れました。




「あらゆる人間の冒険は、

どんなに孤立して見えても、

人類全体を巻き込んでいる。」
(サルトル)

ジャーナリストとしての

生き方にまつわる言葉でしょうか。




「抽象的に人間を語り、

その人の人生の現実的な条件を

ないがしろにするような

人間の神話を、

私たちはすべて拒絶する。」
(ポール・ニザン)

ここまで強い口調ではないにしても、

こういった側面が、ブレッソンの写真には

あるように思えます。




「沈黙によってしか

語り得ないすべて。」
(ルイ=ルネ・デ・フォレ)

ブレッソンの写真に

しばしば見られる静けさは、

つまり、こういうことかもしれません。

拍手[0回]

PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword

PAGE TOP