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紫式子日記

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『アリスが落ちた穴の中』プレミエレポート(3/4 感想・質疑応答)

長いので4分割してます。
1/4 上映前
2/4 作品
3/4 感想
4/4 上映後



観終わって初めに思ったのは、
「本当に60分だったの!?」
ということ。あっという間でした。
メリハリのついた編集と見事なBGMで
時間が経つのも忘れて見入っていた感覚です。

「現実にとって、夢とは何か」
このテーマは映画『パンズ・ラビリンス』でも
扱われていましたが、『パンズ~』とは異なり
その問が私たちの中に引っ掛けられ、
残されたような感触を覚えています。
「夢にとって、現実とは何か」
という視点も交えていましたね。

また、個人的に非常に興味深く思ったのが、
寺嶋さんが20世紀の映像文化全体を取り込んで
この作品を作り上げられていたこと。

2/4 作品にも書きましたが、作品全体は20世紀初頭、
戦前のサイレント映画の技法を模しています。
作中には世界大戦と思われる、戦場の記録映像が挿入されます。
俳優の演技・カット割りなどは、寺山修司の実験映画を連想させます。
画面もわざと荒くして、昭和の作品っぽくしていたようです。
これらの技術を使って、90年代から流行している
ゴシック・ロリータテイストの世界を
19世紀末イギリスを舞台として描き出す。
そのことが却って、非常に21世紀的な作品だと感じました。



上映後の質疑応答。

「最後のマメ山田さんの『夢がなければ生きてはいけない』の場面だけ
 非常に音声が荒かった。意図的なものか?」
という質問に、寺嶋さんは
「自分が学生時代に映像を学んでいた環境では
 機器のクオリティが高くなく、映像も音声も荒かった。
 その名残で、ノイズが掛かっていた方がしっくり来る場合がある。
 実はあの場面の音声はクリアなものを撮りなおしたが、
 比較した結果、ノイズだらけのものを採用した。」
といったことを答えられていました。
別途、物販タイムに
「現実世界であることを示すという意味もあった」
とも仰られていました。

何もかもクリアになった現在、ノイズは邪魔なものではなく
エフェクトのひとつだもんなー、などと思いながら聞いていました。

寺嶋さんは今回の作品を、中村趫先生の写真作品を映像化したい!
というところから着想なさったそうなのですが、
その中村先生の作品も土壁のようなテクスチャ
(寺嶋さんは「壁」「汚し」と仰られてたかな?)や、
褪せたような色彩加工が特徴になっています。

光や透明度、清潔さが増すほど闇や濁り、汚れが必要になるのだよ!!(?)



「人形を映像で使う上で工夫されることはありますか?」
という質問に、清水さんの回答。
「アニメーションで人形を使う場合は
 動いたりしないように関節を固定しなければいけないが、
 今回私の人形はスチール撮影された画像が
 アニメーションの素材として使用されていたので、
 そういったことを考慮する必要はなかった。」
「他の作家さんは人形が壊れてしまうことがあるので
 映像作品に使用されることを嫌がる傾向があるが、
 私は自分自身が映像出身なので映像作品に人形を
 使用されることは平気。今までも水に浮かべられたり、
 土に埋められたりしている(笑)」

ちなみに今回使われたアリスの人形は、この作品のために作ったのではなく、
企画が決定する前に個展で展示されていたものだったそうです。
この人形がまたね……絶妙な表情なんですよ、
何か考えていそうな、何も考えていなさそうな、
観る人次第で色々に受け取れる表情をしてて。



また、各出演者・スタッフに対する
「一番苦労したことは?」
という質問で、ロウズ・ファミリーの皆様は口を揃えて
「映像作品ゆえの難しさ」を挙げていました。

実はロウズ・ファミリーの皆様が本格的に
映像作品に出演されるのは今回が初めてだったそうです。
普段は舞台でのパフォーマンスをなさっていて、
物語を時系列に演じたりアドリブを多く
取り入れたりしているそうなのですが、
撮影の順序が物語どおりでないので、
各場面に感情移入することが難しかったと仰られていました。

それでも
「今後もこういった新しい試みは続けていきたい」
とギグルスさんは仰っていました。
ので、またこういう映像コラボが観られるかも……?

4/4 上映後 につづく

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