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紫式子日記

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藤原薫『楽園』

どうもこんにちは村崎式子です。

好きな文房具はクリアフォルダー、好きな場所は友達の家、趣味は外泊です。

そんなこととは全然関係ありませんが(いや、深層心理で強く結びついてるかもしれませんが)、本日ご紹介するのは藤原薫『楽園』です。


えぇ、また耽美的な方に戻ってきました。

趣味がわかりやすい自分が好きです、村崎式子です。

藤原薫はなんか『お前が世界をこわしたいなら』の方が人気高い印象があるのですが、どうなのでしょうか。

どうも私はこの手のまんが家さんになると短篇集が好きらしくって、両方立ち読みしたんですが、『お前が……』の方はあんまり食指が動かなかったとか、そういう顛末です。



はい、で、『楽園』。

まず絵が好きです。

私も昔こういう絵を描きたがっていたような気がします。

えぇ、タクですから。

なんか、こう、見ててゾワゾワしてくる絵を描かれますね。

ゾワゾワって、欲情のゾワゾワです、念のため。

近世ヨーロッパのエロティックペン画とかに似た印象を受けます。

目の表情とか唇の感じとか、無機質ぽいのにそれがかえってエロティックっていう。

冷たいエロスっていうの? 上手く言えないけど。



ストーリーも巧み。

デカダンの匂い溢れる、何も解決しない、薄暗いまま終わる物語群。

楠本まきなんかは結構あっけらかーんとした、ほんのりハッピーエンドが多いのでこういうのは新鮮でした。

立ち読みで読んだ赤ずきんちゃんの話に惹かれて買ったけど、実際全部ちゃんと読んでみたらふたごの話の方にハマった。

ふたご好きですね。

楠本まきの短篇集『T.V.eyes』の中でもいっちゃん好きなのは、ふたごの話「Ch11」です。

将来の夢はふたごを産むことです。ややマジで。

自分がふたごだったら……なんてムリなことも一時期夢見ていましたが、「式ちゃんが二人いたら大変だよ、恐いよ」と友だちに言われ、それもそうだと納得したので、それ以来そんなことは口にしていません。



話の説明全然しとりませんね。

ふたごの話は結構コワめです。

その「もの」の今ある姿だけでなく、過去・未来も同時に幻視できてしまう千紘と、それを感じ取り言語化してしまうふたごの片割れ、千昌。

千紘はその能力ゆえに千昌や母親を不幸にしていると感じ、自ら進んで引きこもるのですが、そのことを忘れてしまった千昌が千紘を外の世界に連れ出してしまい、悲劇が始まります。

いい意味で読後感が悪いというか、忘れられなくなる話です。



でも赤ずきんちゃんもいいですよ。

この本の帯コピー「少女、孵化」ってのはこの話のことだと思うのですが……

赤ずきんちゃんが「女」になる話です。

でもオオカミがおばあちゃんを食べてベッドで待っていた、とかそういうお伽話〜な要素はカットされて、よりリアルなロスト・ヴァージンが描かれています。



ぶっちゃけた話、藤原薫は他の作品持ってないんですが、ほしくなってきました。

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