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紫式子日記

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『西荻夫婦』やまだないと


西荻夫婦
西荻夫婦




やまだないとは、ブレたような線がずっと好きになれなかったのだけれど、KIMONO姫に連載?されているまんが「メロリヒメ」に好感が持てて、試しに立ち読みして良い感じだったこの作品を購入。



西荻窪に住む漫画家のナイトーくんと、会社勤めのミーちゃん夫婦(おそらくやまだないと夫妻がモデルと思われる)。

そして古き良き「ご近所どうしの交流」が残る町で過ぎていく日常。

ただしミーちゃんはたまに世界の終わりを想像して泣くのが趣味。

常に"終わり"の感覚を抱え、何気ない日常生活にも透明な不穏さが影を落とします。

でも、それは決して汚らしいものではなく、風景の色彩がより鮮明になるフィルター。

そんな風にして過ぎていく、夫婦生活が静かに、静かに描かれていきます。



私、西荻窪に住むはずだったんですよ。

知り合いの家があって、下宿する予定だったんですね。

結局その話は流れてしまったのですが、受験期はそのお宅にお世話になったため、私には数週間西荻で生活した経験があるんです。

このまんがに西荻の風景写真がところどころ使われていて、「あぁ、此処此処」って気分になってました。



そして何より内容のリアルな哀しさ、静けさ。

「一人になると二人を感じる

 よかった まだ わたしたちは他人だ…」

「明日が来なくても まあ もう充分ってカンジかなー

 恋愛じゃないからね」


「わたしの中に"終わり"の感覚がある

 わたしたちはよりそって歩いている

 だけど明日は会えないことを知っている

 そんな場所を歩いてる……気分に襲われる」



今、(いちおう)好きな人がいる。

都合さえ合えば、かなり長い時間一緒に過ごしている。

だけれど特に約束も期待もしていない。

"終わり"があることを意識している。

そんな時だからこそ、手に取ってしまったのかもしれない一冊。



KIMONO姫―アンティーク&チープに (4)
KIMONO姫―アンティーク&チープに (4)





ちなみに、メロリヒメことメロリちゃんのお友達も「ナイトーくん」。

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