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紫式子日記

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『テロリストのパラソル』藤原伊織


『シュガルン』→土屋アンナとせっかくカワユス系で来ていたのに、
ここでまたハードボイルドにサスペンスな感じに戻りまふ。嗚呼

サスペンスとゆーと理想的でカコヨスなイケメソが
ゴーヂャスな謎の美女と知り合いになりつつ
厄介な事件に巻き込まれ、解決していくうち
なぜか美女とねんごろにゃんごろになる・・・
というパターンが王道だと思うのですが、

この作品のいいところは、
主人公がカッコよくない。
40代、アル中、新宿のバーテンダーで
友達はホームレスの青年だけ、
70年代学生運動で敗走した過去を持ち、
さらに親友の作った爆弾での事故に巻き込まれ
お尋ね者になっている、とかそういう。

ある晴れた日、習慣通り新宿の中央公園で
芝生に寝転びウィスキーを飲んでいたら
目の前で爆弾を用いてのテロが起こる。
やりすごそうとその場は立ち去るが、
遺留品や証人となる人物を残してしまう。
しかも、彼を追いかけ始めたのは
どうやら警察のみではないらしい・・・。

トリックが特に手が込んでいるとかではなくて、
主人公が限られた情報・人脈を使って
「誰が、何のために」テロを起こしたか、を
導き出していく推理の過程がキモ。

また、そこに学生運動にかかわった
主人公や旧友の思いも交錯し、
物語を重層的にしていきます。

「奇妙なやくざ」浅井など、
キャラクターも魅力的。
会話がウィットに富んでいて、
読み飽きない。

サスペンスって1度読んだら終わりだから
あんま好きではないんですけど、
これは読み返したくなる秀作でしたねぃ。

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