2006/06/07 Category : Books 『うつくしい子ども』石田衣良 うつくしい子ども石田衣良は恋愛小説から入ったわたくし、「あれー、石田衣良ってこういうの書くんだー」という印象。読みやすい文体は確かに彼のものですね。正味2〜3時間で一気に読めました。ただ、オリジナリティをあまり感じないというか。「夜の王子」を殺さねばいけないと思い詰めている場面は、田口ランディ『アンテナ』で主人公が妹を殺さねばいけないと考えているところとダブるし、比喩の使い方は村上春樹っぽい。上手いこと言うとは思いましたけれどね。やるせなさの描写で、「それがどんな気持ちだったか、想像してほしい。 それを百倍にするとぼくの気持ちだ。」とか、「みんな、なにもない振りをするのが、とても上手なんだ。」とか。あとは何と言っても、この人ならではの視線のナナメっぷりだなー。シビれますね!!そもそもが《少年犯罪の犯人の家族》という、ほとんど誰も触れない《第二の被害者》を主人公にしているし、マスコミ側からの視線も交差する。加えて「少年犯罪」自体への目線ね。そのテの犯罪が起こるたび家庭環境のせいだの、地域社会のせいだのという言説が流れるけれど、それをさりげなく、だけど的確に批判する。まさに主人公がしているとおり、自転車で風を切って、風景が流れるのを見ているような感触で。うん、日本の政治家はもっと石田衣良のハナシを聞いた方が良いよ。現総理なんか、髪型も似てるし、ねぇ。。。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword