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紫式子日記

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早稲田大学の寺山修司展


早稲田大学の寺山修司展 〜青少年のための寺山修司入門〜



久々に、アングラな感じで。

つぅかもっと早く開催に気づけば良かった。

今日最終日じゃん。。。



天井桟敷の資料や、雑誌記事・書簡が展示されていました。

横尾忠則のポスターとかね(笑)

展示スペースはさして広くなく、展示品も「入門」とされている通り、それほどコアなものは無かった気はしますが。

自筆書簡とか、天井桟敷の公開当時のパンフレットとかもあって、ファンの方ならじゅるりだったのではないかしらん。

私なんかは『青女論』しか読んでない甘ちゃんだから、文字通り「入門」とするしかできなかったのですけれど。

東由多加の名前とか、才能が才能を呼んで集結させていたような時代が偲ばれました。



お得だったのが、同時開催企画で映画実験室・人力飛行機舎による、寺山修司監督の実験映画を無料で(!)観られたこと。

上映作品は『二頭女―影の映画』『ローラ』『審判』の3作。

 『二頭女―影の映画』

画面に人物がいる。

壁にその人物の影が落ちている。

人物は移動するが、影は着いていかない。

そのままそこにとどまり続ける。

人物自体がいなくなっても、壁は影をとどめて、人物の存在(「いた」ということ)を主張し続ける。

という映画。

相手が去った後でも、気配だけが残っている「つらさ」のような感情がフィルムに焼きついている感じ。

恋人と別れた女性がベッドに腰掛けている横で、壁にはオーガズムに達してるときの影が残っていて、女性本人を尻目に悶えてる……ってのが凄いと思った……。

最終的に、別れた恋人の影を雑巾で拭き取るのだけれど。

ラスト、セット全体が映し出されて、セットを片付けるスタッフたちの影だけが行き来していたのは、妙な感覚だったなぁ。



 『ローラ』

覗き見部屋っていう設定なのかな?

画面には、黒一色を背景に、宇野亜喜良が描く人物みたいな白塗り×特濃アイメイクの女3人が、女王様みたいな恰好で、大股開いてテーブルに腰掛けている。

そして観客に向かってダラダラと耳障りなことを言っている……

「アングラ映画はどんなもんかって観に来る奴は××だ」

「きゃはははは」

とか、そんな感じ。

そのうち、観客の一人にこちらに来い、と呼ぶ。

「そう、あんただよ、あんた!」

と指差して。

唐突に、赤いジャケットの男がスクリーンの前・壇上に上る(現実世界でね)。

そしてなんと、スクリーンの中に入ってしまう。

次の瞬間から、赤いジャケットの男も3人の女と一緒にスクリーンに映される。

男はそれから3人に服を脱がされ(セクハラだw)、再びスクリーンから(裸で)「いま・ここ」の壇上に出てくる。

1974年の映画なのに、その演出によって、「いま・ここ」の映画になってしまう。

この手法で上映され続ける限り、永遠に「いま・ここ」の映画で在り続けるのであろう映画。



 『審判』

最初から最後まで釘が主要モチーフとなっている。

釘が異様さをもたらしているシュールな場面が数分間ずつコラージュされている。

 ・ 横で釘が打ち付けられるたび身悶える裸の女

 ・ 巨大な釘の先をフェラチオする女

 (以上の2場面で、釘がこの作品において男根〔も〕象徴していることがわかる)。

 ・ そこかしこに釘が打ち付けられた風呂場(?)で釘を抜き続ける女

 ・ そこかしこに釘が打ち付けられた白い壁から釘を抜き続ける男

 ・ 特大の釘に貫かれた工場

 ・ 巨大な釘の頭が窓の外に迫る横で、情事を営む男女

 ・ ドアから侵入してくる巨大な釘に怯える女 、等。

どの場面も連関性は持たないが、巨大な釘を背負って歩き続ける裸の男(恐らくイエス=キリストを象徴)だけは、繰り返し挿入される。

これの解釈は、如何していいのか、そもそも、解釈自体をしていいのかどうか、量りかねる。

セクシャルな物事への戒め、とも取れるし、刹那的に性を謳歌する生への戒め、とも取れるし。

しかして、釘を打つという行為は、罰するという行為だけではなく、性交することの象徴ともなっているし。

こちらも、作品と「いま・ここ」をつなげる演出が為されている。

今度はスクリーンが木で出来ていて、最後、白い光しか当てられていない=白壁となったスクリーンに、観客が次々と釘を打ち付けるようになっているのだ。

釘を打つ・打ち付けるという行為に、観客をも巻き込もうとした寺山の意図は、何だったのだろう。



青女論―さかさま恋愛講座
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