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紫式子日記

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ドイツ写真の現在


竹橋に来る用事(って言ったらバレバレなんだろうか)があったので、ついでに東京国立近代美術館「ドイツ写真の現在」展を観てきました。

観て「怖いっ!」って思う写真に久しぶりに会いました……



のっけから足元ぐらつかされたのは、ベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻の作品。





(ペンシルヴェニア州ベツレヘム  1986年 ©the artist )


給水塔、炭鉱の採掘塔、鉄鋼所の溶鉱炉みたいな産業建築物を淡々と撮っているのですが、これがなかなかどうして、気味悪い

同じ形のクレーンや煙突が並んでいる風景が、この人たちのファインダーを通すとすごく不気味でグロテスクに見えるんです。

あと、給水タンクとかガスタンクが画面全体にバン! と来た写真とかには、無生物なのに威圧感・圧迫感を覚えました。

でも、ずっと見てるとそのタンクが、支柱で地面に縛り付けられているようにも見えてくるんですよね。

工業化社会の不穏さ・恐ろしさと悲哀を同時に撮りこんでいるように感じました。



アンドレアス・グルスキーはベッヒャー氏の教え子。

「同じ形が並んでいる風景」の奇怪さを鮮やかに撮っているところが共通していますが、グルスキーの方が色彩・構図が幾何学的・無生物的。





(グリーリー  2003年 ©Andreas Gursky)


そのよそよそしさがまた、人間疎外窮まった現代社会! って感じで、ゾワゾワさせてくれました。



トーマス・デマンドの手法も面白かったな。






(浴室  1997年 ©Thomas Demand, VG Bild Kunst, Bonn/ APG-JAA, Tokyo 2005 )


これ、

?ニュース写真を

?紙の模型で再現して

?また撮影する

っていう工程を経てるんですよ。

幾重にもマスメディアを通してしか私たちの元に届かない、情報のアンリアルさを、写真という「真実を写す」と信じられているものによって表現する、そんなアイロニーっぷり。

こちら、「ニヤリ」系。



ロレッタ・ルックスは……今月の美術手帖の表紙にもなってますが……

まず「え、これ写真だったの!?」ってハナシですよね。





(窓辺にて  2004年  ©the artist )


色彩とかモチーフとか、奈良美智ぽいな、ってちょっと思ったけど。

子どもの写真を加工して、これまた加工して作った背景と組み合わせて、ってやってるんです。

んで(たぶん意図的に)合成の境目が見えて、これまたよそよそしい。

リアリティを欠く、不安な空気を醸していました。



写真って、今までまじめに観たことがなかったんですが、この展示でだいぶ考え方改まりました。

ドイツだけじゃなくて、他の国々の状況も知りたいね。



美術手帖 11月号 [雑誌]
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