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紫式子日記

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『レッド 1』山本直樹


元々
「70年代学生運動の敗退を見た世代の
 ニヒリズムを反映した作風を持つ漫画家」
としての
山本直樹に興味があったから、
いよいよ描いてくれたか、
という気分。

『デマコーヴァ(『ラフ&レディ』に収録)』での
「美少女カニバリズム」とか、
山本直樹は人を人とも思わない
描き方をするえろまんが家で、
本人もコマのすみっこやあとがきで
「しどい(ひどい)まんが」と
自己申告してたりするんですよね。

んで、たぶん
『エロマンガ・スタディーズ』
だったと思うんですけど、
学生運動失敗を見たゆえの虚脱感が
男も女も人格を無視される、
この作風に反映されてる
みたいな論評があったんですよ。


んで、この作品。

なんか●●●山荘事件の
犯人とかガチで出てきてて、さながら
ドキュメンタリーまんがの様相。

全国数箇所で同時多発的に起こる
学生運動(終息に向かっていた)を、
それぞれ追っていく形式。

私としてはこの時代のこういう動きは
「戦後日本のトラウマ」で、
なんとなく触れちゃいけないみたいに
扱われてきて、今やっと
描けるように、読めるように
なったと思っていたのですが、
どうなのでしょうか。


とりあえず山本直樹なので
読みにくいのは仕様なのですが、
読みにくい原因はたぶん
各回でキャラクターに付く
「このとき▲歳
 ●●●山荘で逮捕されるまで
 あと■■■■日」

っていうキャプション。
あと、死ぬ順番に
キャラクターに付された番号。

でも、このすべてを数字に還元する
「しどいまんが」っぷりこそが
山本直樹、なんだよなー。

キャラクターが揃いも揃って
地味
なので、見分けられず
何度も読み直した。

あと
「山本直樹らしくない」
という意見も。
「なんかジメジメしていない」
だって。
確かに、ヘドロの中を
「ずぶっ」
って進むシーンが、
いちばん「らしかった」かも。


結末を読めば虚脱感に襲われると
わかっていて読むのは、もう
虚脱感を追体験したいからなんだろうな。
今回も、いい虚しさを
期待してしまっています。

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