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紫式子日記

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『地獄の黙示録』


地獄の黙示録 特別完全版
地獄の黙示録 特別完全版




父がDVDを持っていたので、帰省したついでで見せてもらう。

でも。

生半可なノリで観てはいけなかった。。。



以下 ネタ ばれ っ
ネタばれも何もないと思うけどね、
新作じゃないし、名作だし。





舞台はベトナム戦争中のベトナム国内。

任務待機中のウィラード大佐が、戦線に出ずにいて身体が鈍ることに苛立ちつつ、離婚した妻のことを思いつつ、浴びるように酒を飲んでクサっているところから物語は始まる。

本国で反戦ムードは高まっているが、しかしウィラードにとっては戦場こそが居場所なのだ。

この時点で既に、戦争哲学……と呼んで良いとすればだが……は始まっている。

「国家にとって」「歴史において」ではない。

「ひとりの兵士にとって」戦争とは何なのか。彼はどうやって戦争と接しているのか。



そうしているところに召集がかかり、任務が説明される。

カーツ大佐という伝説の軍人を殺害せよというのが指令だった。

カーツ大佐とは、かつては優秀な軍人であったにも拘らず「不健全に」なり、軍から逃亡して、現在では自分を神と崇める山岳民族を率いて、カンボジア領で「王国」を作っている男である。

このカーツ大佐の「王国」に向かう道中が物語の中心となる。

道中、ウィラードは様々なタイプの軍人を見る。

皆戦争を無視しようとしたり軽視したりしていて、結果的にクレイジーな行動をしていたり、あるいは最終的に精神的に異常をきたしている。

だがウィラードは冷静に、「これが戦争」「戦争とはこういうもの」と(恐らく)的確に割り切り続ける。

そして、カーツに関する資料を熟読しつづけ、彼の姿勢に共感めいたものを覚えていく……似たもの同士なのだ、彼らは。



カーツの「王国」に至る手前で、ウィラード一行は第二次大戦後(かな?;)にベトナムに入植し、ベトナム戦争開戦後の今もそこで農園を維持して暮らしているフランス人コミュニティに接触する。

そこで出会う、夫を戦争で亡くした未亡人の女性が夫(そして夫と重なるウィラード)について語る言葉が、カーツとウィラードの共通点、ひいてはこの映画のテーマについてのヒントを与えている。

「あなたは二人いる 殺すあなたと愛するあなた」

ひとつの精神に抱える矛盾、そしてその矛盾を止揚できなかったゆえに異常と見なされる行動に出たのが、カーツなのだと解かれる。



そしていよいよ、カーツの「王国」へ。

古代遺跡のようなその場所には、ジャングルの蒸した青臭さと、そこら中に転がる死体の腐臭とが鼻をつくような光景が拡がる。

ウィラードは捕らえられるが、カーツに思うところがあり、すぐにコミュニティ内を自由に行動する事ができるようになる。

そして、ウィラードは生と死が色濃く接するその場所で、それら生死を司っているのがカーツだと気づくようになる。

それと同時に、彼の苦痛にも……似たもの同士ゆえ、わかってしまったのだ、ウィラードには。



カーツを崇める山岳民族たちが聖餐を行なう夜、ウィラードはカーツの部屋に侵入する。

そして広場で犠牲の牛が屠られるのと同時に、カーツを叩き切る。

血みどろの状態で姿を現したウィラードに、山岳民族たちは全てを察し、道を開ける。

ウィラードはひとり生き残った乗組員を連れ、ボートで下流に帰っていくのだった。

犠牲の牛と重ねられたカーツを殺すことによって、ウィラードが得られたものはしかし何だったのか。

贖罪も赦しも、そこに果たして在るのだろうか。

ウィラードは今後も従軍するのだろう。

「殺すあなたと愛するあなた」両方の存在に、ウィラードは今後どう対峙していくのか。




単純に「戦争反対! IPEACE!」とか叫んでいるより、ずっと脳髄と鳩尾に「クる」反戦映画(だよね、これ?)。



こちら↓通常版との比較にもなっていて、タメになります。
吟遊旅人内ページ地獄の黙示録 特別完全版@ピピのシネマな日々

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