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紫式子日記

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『2001年宇宙の旅』


2001年宇宙の旅
2001年宇宙の旅


タイトルを聞いただけで、『ツァラトゥストラはかく語りき』が脳内で流れる。



こんばんは、「今さら観る名作」がシリーズ化しつつあります。

『紫式子日記』に、本日もよくぞおいでくださいました。



で、やっと観ました。

人類の祖先が骸骨を見つめる場面なんか、

「おぉ、これか!!」

と、まるで有名人を見た田舎者のような気分になりました。



『EYES WIDE SHUT』でもそうだったのですけれど、キューブリック作品ていうのは観ていて時間感覚が狂いますね。

視点・視線の使い方なんだよな。

カメラをジッと止めているシーンと、慌しく移動させているシーンのメリハリがハッキリしている。

(ヴィム・ベンダースなんかは、ずっとカメラを止めているタイプなんだ、たぶん。)



あとはキューブリック哲学!!

なんで「人類の夜明け」にあんなに時間を割いたの?

ラストのエッシャーの絵みたいなシーンは何を意味しているの?

死の発見 + 道具の発見 → 道具の発達 + 道具自身による死の発見 → その先にあるのは何?
この他、諸々の問いが私たち観客の解釈に委ねられているかと思うと、頭痛がします。

答えは、わかったような気になったと思ったら途端にわからなくなる。




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『未来世紀ブラジル』


未来世紀ブラジル スペシャルエディション
未来世紀ブラジル スペシャルエディション


ご好評をいただいております、「今さら観る名作」シリーズで御座居ます。

今夜は此方、『未来世紀ブラジル』。

なぜか何かしら、『ブレード・ランナー』のような陰鬱な雰囲気を想像していたのですが、存外コメディタッチなのですね。

それもブラックな。



ご覧になっていない方のために申し上げると、情報社会への風刺になっているのです。

些細なことでもいちいち書類を書かねばならない、個人情報が隅々まで管理された近未来が舞台。

上流階級のファッション・官公の建築物などはアール・デコ調の華やかさを湛えているが、下層市民の生活は劣悪……という、「見た目はキレイ、中はキタナイ」社会が描かれています。

政府の管理への反発で、テロも多発しているという設定。

ってこれ、2000年代への警告だったんじゃないの! あるイミ黙示録なんじゃないの!!

みたいな世界観です。



「法規制はむしろ『犯罪者』を増やす」というジレンマが、画面を飛び交う書類群によって示されます。

主人公・サムが、結局空想の世界に逃げ込まざるをえなくなるという残酷な夢オチによって、そのメッセージは決定的になっている、気がするのですが。



コミカルな演出は観ていて面白いんだけど、如何せんメッセージが重くて、2度見るのはためらわれる映画……。

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『シザーハンズ』


シザーハンズ 特別編
シザーハンズ 特別編


いやぁ、ジョニー・デップって本当にすごいんですねぇ(水野晴郎風)。

如何にも人造人間っぽい、ぎこちない動き・喋りも上手かったけど、

嫉妬に駆られたときの凄み!

すばらしかった。



それからティム・バートンの演出。

『チョコレート工場』とコレの2作しか観ていないけれど、彼は色彩の魔術師なのだなぁ、と。

エドワードが暮らす城の前庭のまばゆさ、それと対照的な城内のねずみ色。

一転、郊外住宅地のわざとらしいパステルカラー、夜の闇。

ポップさばかりが強調される監督ですが、陰鬱なものも描ける(むしろそっちのが本領?)感性の幅広さに、感心することしきりです。



ストーリーも深いし!

「身体障害者(今使用禁止語?)」「アウトサイダー」などに対して私たちが述べる言説、その身勝手さをありありと露呈しているんですよね。

そのような色眼鏡ナシでエドワードのことを見られるのは、結局彼に真摯な恋をしたキムだけだった、そのことが泣かせます。

オチがすごかったねー。

こういう静かだけど壮絶な恋の物語って、結構クる。

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『ベルリン・天使の詩』


ベルリン・天使の詩
ベルリン・天使の詩


映画にしか出来ないワザを余すところ無く使ったような映画。

しかも、いいシブ味醸してます。



舞台は「壁の崩壊」前、1980年代半ばのベルリン。

永遠の時間を生きる、天使・ダミエルが主人公。

彼は人間の、「不完全さ」ゆえに生じる歓び・触覚などに憧れを抱いています。

やがて人間の女性・マリオンに恋もします。

それが云わば契機となり、「流れに身を置き」、自身も人間の肉体を手に入れるのです。

そして夜の街でマリオンを見付けだし、2人は結ばれます。



ストーリーとすればそれだけなんですけれど、映像とか、それを通して語られる哲学性が、すごい。



天使の目に見える世界はモノクローム、という設定なんですよ。

ですけれど、ダミエルがマリオンに出会った最初の瞬間だけ、画面がフルカラーになるのです。

そして、ダミエルが人間になった後は、ずっと。

ダミエルの仲間の天使・カシエルも地上を傍観しているのですが、彼の視界は変わらずモノクロームなのですね。

だから、その場面の「視線の主」、小説で言うところの「一人称」が誰なのかが、映像だけでわかるようになっているんです。

フルカラーになった画面の(ひいては世界の)美しさを引き立てる効果にもなっています。



脚本も上手かった!


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『EYES WIDE SHUT』


アイズ・ワイド・シャット 特別版
アイズ・ワイド・シャット 特別版




なんだかんだで、初キューブリック。

やわらか〜い言い方をすると、監督のアタマが良すぎて観客が着いていかれなくなっちゃったのねみたいな後味。

台詞や、散りばめられた伏線・モチーフなんかをたどって観ると面白いだけれど、「映画ならでは」のハデさに欠ける。

「コレ、映像化するイミあったん?

ていう。



とはいえ映像美はスゴい。

画面の隅々まで凝っている。

印象的なのが、照明効果。

作品のほとんどを占めるのは暖かな電球色だけれど、登場人物の薄暗い心境を描く場面では、冷たい青色に満たされる。

アリスの最後の台詞、

「目覚めていたい」

ともつながるしね。

まぁ、それもロコツすぎてちょっと食傷気味ではあるのです、が。

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