2006/06/02 Category : Movies 『ベルリン・天使の詩』 ベルリン・天使の詩映画にしか出来ないワザを余すところ無く使ったような映画。しかも、いいシブ味醸してます。舞台は「壁の崩壊」前、1980年代半ばのベルリン。永遠の時間を生きる、天使・ダミエルが主人公。彼は人間の、「不完全さ」ゆえに生じる歓び・触覚などに憧れを抱いています。やがて人間の女性・マリオンに恋もします。それが云わば契機となり、「流れに身を置き」、自身も人間の肉体を手に入れるのです。そして夜の街でマリオンを見付けだし、2人は結ばれます。ストーリーとすればそれだけなんですけれど、映像とか、それを通して語られる哲学性が、すごい。天使の目に見える世界はモノクローム、という設定なんですよ。ですけれど、ダミエルがマリオンに出会った最初の瞬間だけ、画面がフルカラーになるのです。そして、ダミエルが人間になった後は、ずっと。ダミエルの仲間の天使・カシエルも地上を傍観しているのですが、彼の視界は変わらずモノクロームなのですね。だから、その場面の「視線の主」、小説で言うところの「一人称」が誰なのかが、映像だけでわかるようになっているんです。フルカラーになった画面の(ひいては世界の)美しさを引き立てる効果にもなっています。脚本も上手かった! 台詞は必要最低限なんです。ほとんど映像に語らせる。(特に、ダミエルが人間になってしまった後のカシエルの表情は絶妙!)ただ、ホメロスという「語りの天使」が登場するんです。彼が、天使と人間とで異なる「時間」「歴史」といった概念についての難解な詩を詠じるんです。それが映画の重厚さをグッと増しているんですね。スペシャルゲスト・刑事コロンボも良かったぁ・笑。ちゃんとピーター・フォーク本人が演じてるんですよ!!彼も、人間として生きることを選んだ元・天使だ、という設定なのです。しかし、コレ。いちお、「人間讃歌」「人生讃歌」の物語ではあるけれど、有り体に言えば「堕天使」の話じゃんねぇ。よかったんか、キリスト教圏で上映して。ドイツだからか……? [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword