2006/09/23 Category : Movies 『誰も知らない』 誰も知らない映画復帰第1弾。相変わらず早稲田松竹。えっらい話題をかっさらった作品ですが、実は初見でした。確かに、凄い映画だった。「凄い」ってあれね、漢字ね。「スゴい」てカタカナじゃなくてね。もう、壮絶。明と京子、それぞれの母親への愛憎模様が苦しい。明確に台詞にされず、小道具(マニキュア・クローゼット)で示される辺りが、余計に。何より映像に圧倒される。鮮やかな色彩で、嗅覚まで刺激されるよう。水道が止まってからは、子どもたちの体臭までもが嗅ぎ取れる。苦しい。息苦しい。YOUのダメ母演技も凄かった。予想以上だった。YOU自身、けい子みたいな女の葛藤をちゃんと知ってるんだな。(本当に離婚しちゃったし。)しかしなぜか入り込めはしなかった。柳楽くんの演技が上手すぎたのだろう。。。 [0回]PR
2006/09/09 Category : Movies 『ピアノ・レッスン』 ピアノ・レッスン久しぶりのマトモな記事がこんな文学的エロ映画だなんて、紫式子としてすごく正しい感じで好もしいですね。言葉少なな映画です。主人公・エイダは言葉を喋らないし、タイトルから連想されるとおり、BGMが占める部分が大きい。その分、音楽+映像を通しての心象描写が際立っているんですよね。エイダの娘・フロラも虚言癖・分裂症的なところがあるように見えますが、話が展開していくうちに、エイダの戸惑う心を反映・代弁していることがわかってきます。直接的にエイダの言葉で語られないからこそ、不倫の恋に心が傾いていく、その過程がより痛々しく、より鮮明。まぁ、上手い映画ですよ。これだから女性監督モノって好きさ。ストーリーを申し上げれば、ある女性が自らの意志と自由を獲得していく映画……。19世紀英国社会というストイックな背景に、夫を喪った子連れやもめという、禁欲を強いられるエイダの立場。彼女の欲望を発散するのはピアノだけでした。(それもあってでしょう、エイダのピアノを演奏する手つきや手話は、やたら色っぽく演じられています)ですが再婚のために渡ってきたニュージーランドの荒々しい大自然(この映像美もすばらしい)と、その化身のような粗野な男・ベインズとに、「女」としての自分を明らかにしていきます。(以下、ややネタバレあり) つづきはこちら [0回]
2006/07/18 Category : Movies 『パイレーツ・オブ・カリビアン / デッドマンズ・チェスト』 パイレーツ・オブ・カリビアン / デッドマンズ・チェストジョニー!!!いやもう叫ぶしかないでしょう、ここは!ああジョニー。今回もカッコよかったよ!!しかも前作では「あほカッコいい」だったのが、正統派「カッコいい」になってるよ!!いいからみんな劇場行こうよ!!あの壮大な映像と音楽は映画館で味わわなきゃだめだよ!!ギャグも熾烈だったなー。エリザベスの言葉を借りれば「あんたたちそれでも大人なの!?」存分に笑わせてもらえます。その一方で、前作より情緒的・叙情的なシーンの存在感が濃かったよね。大雑把に分けると、「前半:ギャグ、後半:シリアス」って感じです。ハナシそのものがオトナになった感じ。一点だけ注意。次回作で完結する「連続モノ」のため、これ自体は「前半」です。『呪われた〜』は単品完結だったんだけどね!起承転結の「起承転」までなので……しかも「転」がホントに衝撃の展開なので……2007年GWまでヤキモキさせられることは、ご覚悟で。 [0回]
2006/07/17 Category : Movies 『カーズ』 カーズガラにもなくディズニーアニメなんか観てきちゃったぜぃ☆PIXERの新作『カーズ』ですよ。総評を先に述べさせていただくと、いい話でした。ハイ。「青年の成長物語」なんですね、シンプルな。キホンに忠実な筋立てだったし、主人公が人間的(クルマ的?)に成長していく過程のエピソードがきちんと作りこまれているので、安っぽくなかったのです。特にラスト、主人公の粋な行動がカッコいい。70年代ロードムービーを意識しすぎなのには閉口したけど。ただでさえストーリーが「古き良き」時代のものを下敷きにしているので、パロディくささが鼻に付くというか。テーマ曲が全部あの辺の曲調なんです。それでターゲット層も不明確になってる。子どもにはわからない70's小ネタが満載だし、「小さい子供がいる親」の世代もハズしているし。中高年を取り込もうにも、そもそも中高年は観ないんじゃないかという。と、いろいろ言いつつもいい話だったので、もうそれで良いかなと。帰りがけ、観に来ていた子どもが親に「楽しかったー」って言ってました。子どもがそう言える映画なら、もうそれだけで良いよね。 [0回]
2006/07/01 Category : Movies 『博士の愛した数式』 博士の愛した数式The号泣。どうしてでしょう。誰かが死ぬわけでも壮絶に愛の炎を燃やすわけでもないのに、何がこんなに胸を締め付けるのでしょう。それはたぶん愛です。愛はiです。虚数です。謙虚な数です。元々「理系的なハナシ」は好きな人間なので、こういうお話はワクワクする。博士の「潔い数字だ」(24)とか「チャーミングな数字だ」(220)っていうコメントも、いちいちほっこりするし。道ならぬ恋をしていた義姉には「eのπi乗=−1」と書き送っていたのを、「eのπi乗+1=0」と書き換えるようになったのは、マイナスだった時間が「永遠である現在」として動き出したことを示している、みたいな解釈でいいのかしらね。あぁ、愛だった……愛だなぁ。ことばにしてしまうとそれだけなんですが、それをじっくり感じることができる映画でした。大人になった√(吉岡秀隆)が数学教師として教壇に立ち、博士と数学の話をする……という映画独自の設定も見事だったと思います。まとまりが出てた。しかし、『半落ち』でも思ったけど、吉岡秀隆の芸能界でのポジションはオイシイよなぁ。。。 つづきはこちら [0回]