2008/09/03 Category : Books 『ねむり姫』澁澤龍彦 ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫実際に私が読んだのはハードカバーのほう。★ねむり姫★『東西不思議物語』の応用編、という感じ。現在の科学では説明のできない、不可思議な現象や伝承を題材に澁澤龍彦が編み上げた、仄暗く、どことなくエロティックな6篇。実はもうちょっとガチガチに「物語」を期待していたので、というのはつまり「小説家」としての澁澤を期待していたので、「語り部」ではなく「解説者」として顔を出されたのがいささか期待はずれではあった。「らしい」とも思ったけど。しかしてやはり澁澤龍彦は文章が上手い。いま「美味い」って変換されたんだけど、それもあながちマチガイじゃないかもしれない。匂い立つような。美しい姫君たちの容貌の描写とか、官能的にして高雅。物語のまとう雰囲気自体が、平安時代とかの、薄暗い室内で香を焚き染めたような、そういう雰囲気。民俗学的な分析とか心理学的な批評とか、やろうと思えばいろいろ出来るんだろうけど、タッツーがかけてくれた魔法が解けない今はまだ、そういうのは後回しにしておこうと思います。 [0回]PR
2008/08/15 Category : Books 『B型自分の説明書』シリーズ O型自分の説明書 『O型』売り切れ続出ワロタwJamais Jamais(じゃめじゃめ)さんスゴいですね、いちやく「B型長者」ですね★個人的な評価・感想。《O型》P13に「自己分析しない。とゆーか、できない。」って書いてあったので、本人よりも周りが読むといいかもです。ちなみに母と彼氏の人がO型で、彼らが自覚していない欠点まで含めてけっこう当たっていたので、イタすぎて読み進められませんでした。《A型》周囲にサンプルが多すぎるため、平均値が取りづらく、「あっちのA型さんには当てはまるけど こっちのA型さんにはビミョーだな?」ってかんじでした。でも、確かに年中行事に抗わないですね(私=抗うB型)。《AB型》周囲にサンプルが少なすぎるため、当たってるかわかりませんでした。でも、さいきん知り合いになったAB型さんは、当てはまらないのが1ページ分=6~7個だけだったらしいです。《B型》名著。なので、ごく個人的なオススメ順位はB>AB>O>Aってなかんじです。ただ、この本のまえがき&あとがきにくどくど書かれているように、あくまでも「人それぞれ」なので、当たっていれば自己紹介に使うってレベルの付き合い方が、いちばんふさわしい本なんでしょう。と、言いつつ私は全巻買いましたが(ノ∀`)ちなみに、このテのものが世に出回るたびに「科学的・生物学的根拠がない」「迷信だ」「こんなものを信じているのは日本人と韓国人くらいだ」「民度の低さの表れだ」とカタクナに否定したがる人が出てきますが、べつにいーじゃん、一緒に楽しめば、と思います。つぅか、場をしらけさせるなよ、とこっそり思ってます。個人的には、心理学・社会学的には説明つくよなぁ とか、生物学的・生理学的根拠も、まだ見付かってないだけかもだしなぁとか、思ってます(笑)。 [0回]
2008/08/13 Category : Books 【雑誌】『ラブコト』 ラブコト 2008年 09月号 [雑誌]★『エロコト』の続編、らしい。いちおう。「各方面からお叱りをいただいてしまったので、今回は配慮して」女性のためのエロいエコ、というコンセプトの雑誌になったらしい。けれど「女性が興味ありそうな話題」に手を出しすぎて、CREAやan・anと差別化が出来ていない上、テーマが散漫になっている。えらい豪華なゲストを今回も連れてきているんだけど、わざわざリリー=フランキーと川上未映子を対談させて「いいセックスは、ココロまで満たされる」なんて(主にan・anで)使い古されたテーマを語らせなくてもいいだろう。桜沢エリカの「セックスした男を好きになっちゃう女」とか、もういいだろうそんなプロトタイプのラジカル・ビッチ!!「各方面からお叱りを~」⇒今度は女性向けにって流れになるってことはやっぱアレかね、「女性を『資源』扱いしている!」とかって誰かがカシマシくしたのかね。いいじゃんね、資本主義体制において、自然の恵みも「女」もヒト(=man=male)のための「資源」にすぎんじゃんね。というか、この↑考え方をすれば、 つづきはこちら [0回]
2008/08/12 Category : Books 『東京大学「80年代地下文化論」講義』宮沢章夫 20年経った今だから振り返られる、「80年代」。東京大学「80年代地下文化論」講義 (白夜ライブラリー002)あらかじめ断っておくと、私は1984年生まれ、24歳女子です。年女です。しかも甲子な。まぁ、なのでバブルはじけたりベルリンの壁が崩壊したときにやっと5つとか6つとか小学校上がりたてだったので、自分が生まれた80年代というのをよく知らなかったりする。「あの頃」みたいなTVの特集でジュリアナ東京の映像が流れたりする、ああいうイメージしかない。あと『バブルへGO!』か。でも、★東京グランギニョルとか村上春樹とかも80年代の産物なんだよな。うーむ、やっぱりわからん、80年代。なので、「オタク」以外の切り口で「80年代とは何だったのか」を考えよう、というこの本(というか講義)のコンセプトは非常にありがたかった。宮沢氏は80年代の志向するところは「カッコいい」だったのではないか、と考える。それは宮沢氏自身もたずさわっていた1982年OPENのクラブ★「ピテカントロプス・エレクトス」が非常に「カッコいい」、ちょっと「敷居の高い」場・空間だったから。 つづきはこちら [0回]
2008/08/06 Category : Books 『ナイン・ストーリーズ』J.D.サリンジャー ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)アメリカ文学好きの友達がいて、その子に感化されて(つったって知り合ってから5年経ってるけど)読んだ。その子自身に「読みはじめたよ~」って伝えたら「どうしたの式子ちゃん、★青春スーツでも着たくなったの!?」とリアクションされた。じゃかあしいわ(笑)。といっても、この短篇集はそんなに青春青春してる感じではない。たぶん。それよりも、人々のどうでもいい、あたまのわるーいおしゃべりのリアルさにびっくりした。これがアメリカ文学か!! っていう印象。野崎さんの訳も上手いんだろうね。BGMとかを感じない、美化されてない感じ、湿度の低い雰囲気、編集されてなさそうな会話……。思い出したのは映画『パリ、テキサス』。ヨーロッパ人が描いたアメリカってことで、プロトタイプな「アメリカ像」なんだろうけど、サリンジャーの語り口にも似たような雰囲気を感じた。そういう、「空気感」を楽しむ作品……かな、とりあえず今のところの私の中での位置づけは。パリ、テキサス デジタルニューマスター版 [0回]