2008/09/03 Category : Books 『ねむり姫』澁澤龍彦 ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫実際に私が読んだのはハードカバーのほう。★ねむり姫★『東西不思議物語』の応用編、という感じ。現在の科学では説明のできない、不可思議な現象や伝承を題材に澁澤龍彦が編み上げた、仄暗く、どことなくエロティックな6篇。実はもうちょっとガチガチに「物語」を期待していたので、というのはつまり「小説家」としての澁澤を期待していたので、「語り部」ではなく「解説者」として顔を出されたのがいささか期待はずれではあった。「らしい」とも思ったけど。しかしてやはり澁澤龍彦は文章が上手い。いま「美味い」って変換されたんだけど、それもあながちマチガイじゃないかもしれない。匂い立つような。美しい姫君たちの容貌の描写とか、官能的にして高雅。物語のまとう雰囲気自体が、平安時代とかの、薄暗い室内で香を焚き染めたような、そういう雰囲気。民俗学的な分析とか心理学的な批評とか、やろうと思えばいろいろ出来るんだろうけど、タッツーがかけてくれた魔法が解けない今はまだ、そういうのは後回しにしておこうと思います。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword