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紫式子日記

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『ねむり姫』澁澤龍彦



実際に私が読んだのはハードカバーのほう。
ねむり姫
ねむり姫



『東西不思議物語』の応用編、という感じ。

現在の科学では説明のできない、不可思議な現象や伝承を題材に
澁澤龍彦が編み上げた、仄暗く、どことなくエロティックな6篇。




実はもうちょっとガチガチに「物語」を期待していたので、
というのはつまり「小説家」としての澁澤を期待していたので、
「語り部」ではなく「解説者」として顔を出されたのが
いささか期待はずれではあった。「らしい」とも思ったけど。



しかしてやはり澁澤龍彦は文章が上手い。
いま「美味い」って変換されたんだけど、
それもあながちマチガイじゃないかもしれない。

匂い立つような。
美しい姫君たちの容貌の描写とか、官能的にして高雅。



物語のまとう雰囲気自体が、平安時代とかの、
薄暗い室内で香を焚き染めたような、そういう雰囲気。

民俗学的な分析とか心理学的な批評とか、
やろうと思えばいろいろ出来るんだろうけど、
タッツーがかけてくれた魔法が解けない今はまだ、
そういうのは後回しにしておこうと思います。

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