2008/03/28 Category : Books 『柔らかな頬』桐野夏生 なんか最近なにを読んでも人間の「業」を感じてしまうのですが本のセレクトが悪いのでしょうか。どなたか宜しくご指南願います(´・ω・)と、いうワケでまた「業」まみれなミステリです。むしろミステリの良し悪しってそこに如何に「業」がきちんと描かれてるかによる、みたいな気がしてきたぞ。犯罪って人間の「業」の極端な現れ方の一面ですもんね。宮部みゆきはそこんとこすごく意識、というか、人間の弱さ・脆さをすごくちゃんと描き出すよね。今回読んだ桐野夏生は、人間のエゴイズム?残酷さ、身勝手さをこれでもかって描いてた。いろんな登場人物の視点を交錯させる、なんて手法まで使って。事件を境に、他人の酷さ・自分の酷さを自覚して、それでもなお生きていかなければいけない。たぶん他の作品だとまた別のテーマなんだろうけどね。結末も救い無い。これ、読んでるこっちもキツいけど、作者自身がいちばん消耗してると思う。。。そこんとこ行くと森博嗣って、ミステリというよりも純粋な知的娯楽を求めてる感じだね。 つづきはこちら [0回]PR
2008/03/25 Category : Books 『三島由紀夫レター教室』三島由紀夫 三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)『不道徳教育講座』なんてのも書いてるし、あんまり「異例の」って感じはしなかったナー。いろいろ書いてみたかったんだと思う。「官僚的」というか「権威的」とされる自己イメージから脱却して、「三島的」ってイメージを創りたかったんだと思う。登場人物5人の手紙のやり取りだけで、物語が進行していく形式。雑誌サークルの後輩が穴埋めコラムで「メールの文面だけで進行する物語」ってのをやってて、ひょっとしたらこれ知ってて真似てたのかな。やっぱ、人間の醜悪さ……が上手く描かれてるよなー、と思う……。この作品だと、まだコメディタッチだけどね。若者の浅ましいながらも素直で快活な気質と、それに対照されるような中年男女のひねくれっぷり・気まぐれさ。丸トラ一は、さいしょあほでむかつきますが、後半ではかわいいと思えてきます。 [0回]
2008/03/24 Category : Books 『潮騒』三島由紀夫 潮騒 (新潮文庫)あまりののどかさに最後の最後で大どんでんを期待した私はしかし決して間違ってないと思う。友人と感想交換。「やたらおっぱい小説だよね」「『おおらかな性』だよね」「まぁギリシャ古典だからな」「『ダフニスとクロエ』な」「おっぱい!おっぱい!C=(゜∀゜*)」スミマセン某有名私立大出ててもこんな感じです。。。まぁ女体に限らず、やたら肉体讚美というか、本人がボディビル始めた時期ってことで「目標:腕立て1日300回」みたいな風味があって個人的に興味深い。あとはこの人、人間の醜悪さ描くのやったら上手いよなぁ、と今更気付く。特に自意識過剰なナルシスト醜男醜女。上手いというか、好きなんかな。描くの。海辺、灯台ってモチーフは「天人五衰」とカブるところ多くびつくりしました。中身真逆なのにね。 [0回]
2008/03/20 Category : Books 『チーム・バチスタの栄光』海堂 尊 うん、面白かったw奥田英郎の「伊良部シリーズ」に本格ミステリを持ち込んだ感じ?って思ってたら、案の定解説で指摘されてたw星新一といい森博嗣といい、理系の人が筆を執るとやっぱりスゲーなぁ、と思う。トマス・ハリスも医師兼、だよね。うーん、ただやっぱり「読み返さない一過性の娯楽」としてのミステリの枠は、抜けきってない感じ。白鳥の登場タイミングが遅すぎなのと、「その後」が冗長すぎるのが玉にキズかな。映画が超えられない原作……だと思うのだが、どうなんだろう……。 つづきはこちら [0回]
2008/03/14 Category : Books 『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』菊地 敬一 ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を (新風舎文庫)わたくしの大好きな「遊べる本屋」★ヴィレッジ・ヴァンガードの社長の本。店名を決めるところから、周囲の反対、今も続く苦労話、どういったスタンスで経営し今に至るのか……。など、客の視点ではわからないビレバンのお話エッセー集。書籍流通の話ですとか、「明るいお悩み相談室 ~本屋の経営者編~」など、業界裏話? もあります。「ベストセラーは大型書店に任せて、 俺たちは売りたい本だけを売ろう」そういう目的で書かれた本じゃないってのはわかってるけど、元気が出ます。「オンリーワンになろう」って、安い言葉だけどこの本に限ってはアリ。 [0回]