2008/03/11 Category : Books 『人質カノン』宮部みゆき 人質カノン (文春文庫)題名から勝手に誘拐モノのミステリだと思っていたのだが、短編集でありました。この人のって『火車』しか読んだことないのですが、すごく……「業」というか、人間のもろさ・弱さ、怨念みたいなものを書くのが上手いなー、という印象が。この本は短編ということもあり、『火車』みたいに物事がオオゴトにはなっていかないのですが、『火車』が起こった背景といいますか……。どの話にも、都市生活者の孤独や孤立が核としてあります。それが決して個人的な問題に留まらず、地域のコミュニケーションがあれば防げたかもしれない犯罪、なんてのも題材になっています。なぜ、宮部みゆきはミステリ作家になろうと思ったのか。それが窺えるような短編集です。これを「防犯のために地域コミュニティを再生」なんてスローガンに使われたら、それはそれでシラけるのですが。 [0回]PR
2008/03/09 Category : Books 『B型自分の説明書』 B型自分の説明書チェックリスト形式で、「B型の自分/あの人」の特徴がつづられていく。「4 いろいろな設定」からちょっとダレるというか、キレ味が鈍る感じがあるけど、前半のツボ突かれ感はたまらない。(というか、そのダレ感自体がB型的。)B型の人、B型の人と接している人たち全てに、とりあえず立ち読みだけでもしてもらいたい本です。いちばん「なるほど!」と思ったのは □ 血液型話はなんだかんだいってB型が載りやすい。 盛り上がりやすい。 □ だって、それ以外の人は血液型に執着しないから。あえて言っとくと、 □ 自分は絶対にこの本よりいい「説明書」が書けると思う。 □ でも、書かない。めんどくさいもん。って項目が必要だと思いました。 [0回]
2008/03/04 Category : Books 『きまぐれロボット』星新一 きまぐれロボット (角川文庫)避けていた訳ではなくて、それこそたまたま読むきっかけが無いままだった作家。ショート・ショートとか、単語だけは耳にしてたけどね。及川光博も好きらしい。トンチ話のような印象のものばかりで、正直「お気に入り!」て事にはなりませんでしたが、過去に存在したある人物の「知性」にダイレクトに触れられたような、貴重な経験をした気分です。理系の人の文章って面白いよね、特徴的で。最初の一行「~博士は××な薬を発明した」が「定義」「前提」になっていて、以下はそれに基づく展開・結果、最後の一行は考察。うぅん、わかりやすい。特にこれは発明家関係の物語ばかり(それとも元々この人の話はそれが多いのか?)だから、彼個人の科学観なんかも窺え、興味深いです。いちばん好きなのは悪意ある人が飲むと顔がむらさき色になる薬の話かな。ネコが宇宙人の相手をする話は、ネコ好きの人なら思わず破顔一笑だと思う。 [0回]
2008/03/02 Category : Books 『親指Pの修業時代 上』松浦 理英子 親指Pの修業時代 上 (河出文庫)高校時代の恩師オススメ本、のうちの1冊だった。右足の親指が男性器に変わってしまうという物語。見掛けても何となく食指が動かなくて、今まで読まずじまいだったんだけど、ブックオフで100円だったので、試しに。ナルホド面白いです。男性器が出来たことで、主人公や周囲の人間の性に対する見方が浮き彫りになっていく過程が面白い。もっと言っちゃうと、最初の彼氏が彼女の親指に示す態度と、それを見て主人公が抱く「違和感」がいい。「フラワー・ショー」あたりになると、なんだかおとぎ話的というか、ぶっとびすぎてて感覚のリアルさが失われる。結末気になるので「下」も読むつもりですけども。 つづきはこちら [0回]
2008/02/24 Category : Books 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』本谷有希子 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫 も 48-1)表紙に山本直樹を起用するだけでもアレなのにこの次に出したやつが瀧波ユカリって、そらあんたえらいもんだぞと。ただものではないぞと。思いつつも、映画化されたよーな「メジャーな」本を読む私というのは私的にいけすかなくて、けっきょく今の今までビレバンでもスルーしてた本。人がふだん「ふた」をしているクサいものを容赦なく引きずり出す人なんだ……と思った。まぁそれやるのが作家の仕事なんだろうけど。田舎の人間の、「浮いた人」を見る目。自分をかっこいいと思い込んでいる「田舎じゃそこそこかっこいい部類」のお兄ちゃん。気を遣っていると口に出しながらぜんぜん気が利かないおばちゃん。あぁ、いるいる……あるある……。言いたかったことぜんぶ、本谷有希子が言ってくれてスッキリする。でもその「言いたかったこと」は つづきはこちら [0回]