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紫式子日記

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『コーヒーアンドシガレット』やまだないと


コーヒーアンドシガレット
コーヒーアンドシガレット



お金が無い無いと言いつつ、欠かさず足を運ぶはブックオフ。

本日の出物、やまだないと『コーヒーアンドシガレット』。

ハードカバー、オールカラーの豪華装丁。

小説まんがって感じ。

エッセイまんがではないしね。



コピーは「さみしくなんかない」。

本編は、主人公である「彼女」の「男友達」論から始まります。

「男の知り合いは何人かいます」

「でも」

恋人がいなけりゃ

知り合いなんて何人いても

同じだけどね。




「彼女」の好きなことが綴られながら、ページは進みます。

カフェ・喫茶店、花を飾る習慣、毎年の海外旅行。

そしてその中に、少しずつ、「ひとり」であること、好きになってみたい「誰か」のことについて、言葉が織り込まれていきます。



そして締めくくりは、「彼女」が友人と会話している台詞になっています。

「恋人でも夫でもないのかもしれない」

「でも…」

「たったひとり」

「わたし以外にわたしのことを見ていてくれる人…」

「わたしが好きなもの」

「わたしが見たもの 選んだこと」

「わたしのことを誰かに証明してくれる人が」

「いて欲しいな って…。」




さみしくなんかない。

好きなもの、自分で選び取ったものが日々の中にあって、毎日は充実している。

ただ、それに加えて求めるものもある……。



エロいやまだないとも良いけれど、こういう、エロ抜きの「ひたひた」したさみしさがあるやまだないとも好きだな。

独り身の女の、何気無いオシャレな日常まんがと言ってしまえばそれまでなんだけど、読んだ後はちょっとゆっくり、周りを眺めながら歩きたくなるまんが。

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『耽美生活百科』楠本まき


耽美生活百科
耽美生活百科


なんか知らないけど、まぁ多分ホルモンバランスの兼ね合いなんだけど、
(ん? バランス=兼ね合い? 同義語重複??)
ここ3日くらい、耽美ボルテージがまた上がっています。

(今月の前半は、機能性重視っていうか、私にしては現実に目を向けていた。気まぐれなもんだ。)

そんなノリもありつつ、発売当時=高校生のときから買わな買わな〜、と思っていた此方を、ようやっと購入。

思えば長い道だった。

だって字、細かすぎるんだもん……。



でも読み始めると、案ずるより産むが易し、サックサク読んで、ニヤニヤできました。

考えてみれば中学時代に紫崎感性の基礎を築いた楠本まき。

合わないはずが無いんだよ。



「耽美漫画家」と呼び声の高い楠本まきが、あいうえお50音順に耽美系ワードをテーマとして設定し、それについてイラスト&文章を綴るという、彼女には珍しいエッセイまんが。

必ずしも、パーフェクト耽美&デカダンって訳じゃなく、それをひとつの「趣味」「嗜好」として、バランスよく、すなわち美しく過ごしている生活姿勢が窺えます。

愛くるしいお人柄でいらっしゃるよね。ギャグ絵とか手書きの字とか、かわいいし。



読んで思ったこと……

この人、本当にB型だ……。

こだわりを持って書かれている所と、ない所の差が激しすぎる。

「50音順」て制限しないで、思いつくお題を、思いつくままに書いていってもらえば良かったんじゃあるまいか

まぁ、このblogも「B型っぽい」って言われたこと、あるんだけどね♪



さりとてやはり楠本まき、こだわって描いてあるパートはどれも美麗で一見に値します。

「怠惰」「蟲」なんかは短編のような味わいですし、「漫画」「Works」などは、他では語られてこなかった、彼女の創作姿勢を知ることができます。


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『命』柳美里



命


読みおわりました、『命 四部作』。

電車の中で読んで、人がいるのに何度も泣きました。

どうすればここまで人を愛せるのでしょう?

血よりも濃い、柳美里と東由多加の関係は、どんな男女の、それどころかどんな人間どうしの関係をも超越しているように思えます。



柳氏の妊娠と東氏の癌とがほぼ同時に発覚するところから、東氏の臨終・葬儀とその後までが、残酷なまでに克明に、そしてそれゆえ、激情を刻み込んで、描かれていきます。

難航する胎児の父親との交渉、それに伴う妹との決別などのトラブルに加え、レイプ強盗による被害など、「ナゼワタシダケガコンナメニ!」と柳氏に叫ばせる、不遇の連続。

何より、ペースを緩めることなく、むしろ段々に早くなっていく癌の進行。

それら非情な現実が事細かに綴られていく中に、かつての東氏とのエピソードが巧みに織り込まれ、物語は縦横に厚みを持っていきます。



取り上げるべき箇所は多いですが、敢えて選ぶと、東氏の葬儀での柳氏の弔辞、そして第4幕『声』を締めくくる言葉でしょう。


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ヴェネツィアン・ビーズ展




ヴェネツィアン・ビーズ展
、日本橋三越にて。

日本なんかだと、つい小学生のお裁縫を連想してしまうビーズですが、この展示ではその歴史・美術性を知ることができます。

古代ローマに見られる、原始的な、ですが既に技巧が凝らされているビーズから始まり、

16世紀、ヴェネツィア共和国の主要な輸出品だったビーズ、

18世紀、貴婦人たちが身につけるための精巧で可愛らしいビーズ、

20世紀に至ってからの、モダンなビーズ・アクセサリーまで。

それほど展示数は多くないのですが、ボリュームはかなりありました!



私が特に感銘を受けたのは、19世紀のフィオーレ・ビーズ。

陶磁器みたいなんですのよ、奥様!(誰)



あと、全身にビーズ細工が為されているドレスとかね。

パラキスでジョージがさ、ドレス全体にビーズで花を描くでしょ。

あれにメンバーが猛反対した理由がわかった(笑)



後半は現在日本で活躍しているビーズ作家さんたちの作品展になっています。

こちらも素敵。

宝石よりきらんきらんしてるんですよね。

中でも天野恵子さんの「アメリ」は、かの映画の主人公のイメージそのままで、嬉しくて涙が出るほどでした(笑)


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早稲田大学の寺山修司展


早稲田大学の寺山修司展 〜青少年のための寺山修司入門〜



久々に、アングラな感じで。

つぅかもっと早く開催に気づけば良かった。

今日最終日じゃん。。。



天井桟敷の資料や、雑誌記事・書簡が展示されていました。

横尾忠則のポスターとかね(笑)

展示スペースはさして広くなく、展示品も「入門」とされている通り、それほどコアなものは無かった気はしますが。

自筆書簡とか、天井桟敷の公開当時のパンフレットとかもあって、ファンの方ならじゅるりだったのではないかしらん。

私なんかは『青女論』しか読んでない甘ちゃんだから、文字通り「入門」とするしかできなかったのですけれど。

東由多加の名前とか、才能が才能を呼んで集結させていたような時代が偲ばれました。



お得だったのが、同時開催企画で映画実験室・人力飛行機舎による、寺山修司監督の実験映画を無料で(!)観られたこと。

上映作品は『二頭女―影の映画』『ローラ』『審判』の3作。

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