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紫式子日記

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『ロリータ』


ロリータ
ロリータ



キューブリックって人はいろんなジャンルの話を映画化しているんですね。

けれど、どれも

「キューブリックだなぁ」

ってわかる。

わかるようになってきた。



こないだ50代の友だちとも話したんですけど、それって「ちょっと世界がズレて見える」感覚なのかな、って。

最初は正常に見える。

でも実は「ひずみ」のタネは既に生じている。

話が進むにつれ、その「ひずみ」は大きくなっていく。

気づいたら、救いようの無い「狂気」になっている。

ブッ飛んでいるように見えて、実は日常がちょっとズレただけの位相にある。

その居心地悪さがキモなのかなって。



この映画での「ひずみ」は、ズバリ嫉妬

主人公の中年男性・ハンバートは、下宿先の若い娘・ロリータに恋をするが、嫉妬に駆られてどんどん常軌を逸した行動に走っていく。

そして最後に、彼女の口から自分が異性としてまったく意識されていなかったことを告げられ、彼が行なったこととは。



あとやっぱこの人は掴みが上手いね。

OPタイトルのバックに流れるペディキュアを塗る映像、あれだけでもう「やられたなぁ。。。」モードに入ってた。

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『だれかのいとしいひと』角田光代


だれかのいとしいひと
だれかのいとしいひと



角田光代の小説って、ポラロイド写真みたいだと思う。



画質はぼんやりとしていて、全体として不鮮明な印象なんだけど、それゆえ対象の本質みたいなものが写されてる。

「見えたつもり」になって、実のところその対象を見失ってる みたいな感覚は、角田光代作品には、ない。



ふと湧き上がってすぐに消えてしまうような感情が、その瞬間を逃すことなく捕らえられている。

普通のフィルムだったら、現像に出すときには何を撮ったか忘れてしまうと思うのだけれど、角田光代はその瞬間に印画する。



中には、

「それ言っちゃおしまいだよ!」

みたいな、元も子もないものも、ある。

けれど、角田光代がそれを口に出して言ってくれたおかげで、気が楽になる場合がほとんど。



彼女曰く、純粋に疑問から出発して創作しているらしいんで。

他意とかないんで。

そういうところ、憎めなくって憎らしいよなぁ、なんて思うのです。



文庫版、解説が枡野浩一なのも嬉しい。

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『フリーダ』


フリーダ DTS特別版
フリーダ DTS特別版



フリーダ・カーロの伝記映画を観ました。

フリーダ・カーロ、ニキ・ド・サンファル、草間弥生は敬愛する女流アーティスト御三家だなぁ。

彼女たちに共通するのは、情熱的で、否定的であれ肯定的であれ、への執着がものすごく強いこと。

そして、それにもかかわらず、才能がそれら執着を上回って、表現という形で昇華してしまっていること。



この映画は女性が監督ということもあり、そこんとこをちゃんと描いていて好感が持てました。

「女流画家の一生」というより、「オンナの生き様」といった方がしっくり来るほど。

実際、フリーダ・カーロがそういう生き方をしたからなのでしょうけど。



フリーダ・カーロは実在したメキシコの女性画家。

情熱的かつ内省的な作風で知られています。

夫は画家のディエゴ・リベラでした。

この映画では、彼女が高校生だったときのリベラとの出会いから、夫婦として暮らし、死を迎えるまでの30年間を描いています。

どちらかというと、アートの映画というより、2人の物語といった感じ。

交通事故で脚に障害を負ったフリーダは、一生のほとんどを肉体的な苦痛に見舞われて過ごします。

加えてリベラの女癖の悪さにより、精神的な苦痛をも背負うことに。

リベラがフリーダの妹・クリスティナと関係を持ったことでそれは決定的になり、フリーダも復讐するように不倫をし、一度は離婚します。

それでも政治的思想、芸術家としての互いへの敬意、何よりも深い愛で結ばれていた2人は復縁し、フリーダの死に至るまで生活を共にします。

痛々しさ・憎らしさ優しさ・愛情深さとがせめぎ合う、まさにフリーダの作品のような物語。



映画そのものは、前述した点以外でも秀逸な作品です。

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『チャーリーとチョコレート工場』


チャーリーとチョコレート工場 特別版
チャーリーとチョコレート工場 特別版



劇場でも観たんだけど、『コープスブライド』観て勢いづいたので、一緒に。



繰り返しになるけれど、ポップクラシカルとの対比が絶妙だなぁ。

映像につけ、音楽につけ。

どうも私が高く評価する映画って、そういう手法を活かしているものが多いぞ。

『ベルリン・天使の詩』といい、『メゾン・ド・ヒミコ』といい。。。

『時計じかけのオレンジ』もそうだったな。



そうそう、『2001年』観た今だからわかるけど、これ、キューブリックへのオマージュでもあるんだね。

TVっ子のマイク・ティーヴィーがちっちゃくなっちゃう、チョコレート転送機のシーン。

BGMが『ツァラトゥストラはかく語りき』なだけじゃなくって、TVに写っている映像も『2001年』冒頭の、猿が黒い直方体(モノリス)を囲んでるシーンだったんだな。

(んで、モノリスが転送されてきたチョコレートに変わるんですけどね、『チョコレート工場』では。)

そういえば、ティム・バートン作品と『時計じかけのオレンジ』とか、並べると

「あぁ、なるほど」

ってなるもんね。



それにつけてもウンパ・ルンパはすごいなぁ……。

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『コープス・ブライド』


ティム・バートンのコープスブライド 特別版
ティム・バートンのコープスブライド 特別版



キューブリックとヴェンダースとバートンしか観ない生活みたいになってきてますが。



しかしこれはいい話ですね。

77分とは思えないほどの濃密な物語でした。

「結婚を夢みていた私が今度は人の夢を奪おうとしている」

のくだりなんて、

「エミリー、イイ女!!」

って騒ぎだしたくなりました。



ティム・バートンは娯楽映画なのにきちんと「クる」作品を作るから好ましいですね。

ブラック・ジョーク満載なのにお涙頂戴もきちんと出来るっていう。

それはそれは映像の色彩のように、ポップな原色のシーンとブルーグレーのシーンとを共存させられる技量であり。



あと私、バートン映画の音楽って好きなんだな。

この作品は中でも、ピアノ曲が秀逸。

アニメだから、余計に音楽に耳が行くしね。



しかしジョニー・デップは声優やっても上手いなぁ・笑。

どもる演技をさせたときにわかる力量がすごいよね。

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