2005/10/21 Category : Books 『キッドナップ・ツアー』角田光代 キッドナップ・ツアー友だちが褒めていたので、ブックオフにあったやつ買って読んでみました、角田光代。実現可能性は未知数なんですが、また別の友だちと『空中庭園』観に行こっかー、みたいな話にもなってる。角田光代。小学生のハルの元に、別居中の父親が突然現れ、「これからお前を誘拐する」と宣言する。最初はいつもの冗談だろうと思って着いていったハルだが、父親が本気なのがわかり、「逃亡」の旅に同行することになる。最初は家に帰りたがっていたハルだったが、旅を続ける中で父親への愛着を深めていき、最後には「解放されなくても良いな」とまで思うようになる。ハルが抱くのは、恐らくあくまでも「愛着」。「尊敬」の念ではない、少なくとも。父親のダメなところ・ダメさ加減もきちんと受け入れて、受け入れられたからこそ、父親を素直に愛するようになる。そんな「きれいごと」じゃないリアルさが、却って心地良かったですね。しかし角田光代。『空中庭園』読んだ友だちとも話したんですが、サラッと痛いところ突くよね!目を背けたい弱さを、サクッと表現してしまう。だけれど、それだけに付けられる傷は治りが早くて、何より、目を背けてはいけないそれらの部分を直視する勇気をくれる。好感の持てる作家が増えました。ハルの一人称で物語が語られていくのに合わせ、語彙が簡単・漢字も少なめ。ちょっと長めの児童文学って感じ。たまに出てくる文学的比喩表現が、周囲から浮いてて興醒めだけど、そこはご愛嬌かしらん。 空中庭園 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword