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紫式子日記

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『キッドナップ・ツアー』角田光代


キッドナップ・ツアー
キッドナップ・ツアー




友だちが褒めていたので、ブックオフにあったやつ買って読んでみました、角田光代。

実現可能性は未知数なんですが、また別の友だちと『空中庭園』観に行こっかー、みたいな話にもなってる。角田光代。



小学生のハルの元に、別居中の父親が突然現れ、「これからお前を誘拐する」と宣言する。

最初はいつもの冗談だろうと思って着いていったハルだが、父親が本気なのがわかり、「逃亡」の旅に同行することになる。

最初は家に帰りたがっていたハルだったが、旅を続ける中で父親への愛着を深めていき、最後には「解放されなくても良いな」とまで思うようになる。



ハルが抱くのは、恐らくあくまでも「愛着」。

「尊敬」の念ではない、少なくとも。

父親のダメなところ・ダメさ加減もきちんと受け入れて、受け入れられたからこそ、父親を素直に愛するようになる。

そんな「きれいごと」じゃないリアルさが、却って心地良かったですね。



しかし角田光代。

『空中庭園』読んだ友だちとも話したんですが、サラッと痛いところ突くよね!

目を背けたい弱さを、サクッと表現してしまう。

だけれど、それだけに付けられる傷は治りが早くて、何より、目を背けてはいけないそれらの部分を直視する勇気をくれる。

好感の持てる作家が増えました。



ハルの一人称で物語が語られていくのに合わせ、語彙が簡単・漢字も少なめ。

ちょっと長めの児童文学って感じ。

たまに出てくる文学的比喩表現が、周囲から浮いてて興醒めだけど、そこはご愛嬌かしらん。
空中庭園
空中庭園

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