2009/06/12 Category : Comics 『ストーン・オーシャン ~ジョジョの奇妙な冒険第6部~』荒木飛呂彦 ジョジョの奇妙な冒険 50 (集英社文庫 あ 41-53)今回のは、アレだな、ジョジョを読んだことない人、特に女子・女性の方に読んでほしいナー(´・∀・)去年から職場の先輩に「お借り読み」していた(・・・)『ジョジョの奇妙な冒険』も、第6部最終巻、第50巻(文庫版)までお借りし、第1部~第6部まで続く「受け継がれる魂の物語ィ!」を読破いたしました。どの部にもそれぞれの良さがあって、それぞれ好きなのですけれど、個人的にいちばん好きなのは第6部かなー と思ったので書いてみる。敢えてサブタイ付けるなら「女子目線で読むジョジョの奇妙な冒険ン!! ~女子は女子でも腐女子じゃないよ~」ジョジョはじめ、荒木先生の作品を読んでいて思うのは 「この人、女性差別をしない人なのだな」ということ。『ゴージャス・アイリン』はうら若い女の子が「女性の武器=化粧」を駆使して快刀乱麻の活躍(暗躍)を見せる話だったし、『バオー来訪者』に出てくるスミレなんて10歳なのに、主人公の少年を心から信じて愛し抜いて、自分の超能力を駆使して一緒に戦うのですよね。荒木先生の描く女の子たちは、強くてカッコいい、そして何より美しい。美しくて強いなんて、最強じゃないですか。『バキ』の梢江さんが言ってた「最愛に比べたら最強なんて」もそこそこ名言ではあるのですが、荒木作品の「戦う女の子」たちの前では最愛という言葉の輝きもくすんでしまうイキオイです。『ジョジョ』第1部~第5部にも、強くて美しい女性たちが出てきます。第1部のエリナ。第2部のリサリサ。第3部のホリィさんは、優しく大きな愛で承太郎を見守ります。第4部で「戦う女の子」といえば鈴美なのですが、第4部はジョジョ史上最強の「女の子の最高傑作」由花子さんを生み出したメルクマール的作品ン!! でもあります。「康一くんの選んだ顔なら」のくだりで見せる「愛する力」「信じる力」は、まさに「美しくて、強い」。由花子さんについて語りだしたらちょっと止まらないので、この場では★「由花子名言集」のご紹介までに留めておきます第5部のトリッシュは、最初はカンジ悪いお嬢様キャラでしたが(笑)、主人公たちと共に「運命と戦う」道を選びます。そして、満を持して第6部です。上述したようにこれまでの部でも「強く美しい、戦う女の子(女性)」は登場していますが、彼女たちは脇役、主役はあくまで「少年」たちでした。ところが、第6部は「少女」が主人公。(正確に言うと、少女から女性の過渡期を過ごす19歳です。)しかも連載初回でいきなり、留置所で自慰行為を看守に見られたことを嘆くシーンからの登場。強烈です。彼女の名前は空条徐倫(くうじょう・じょりーん)。第3部で主役を張り、第4部でも大活躍、第5部にもチラッと出てきたジョジョ最高のヒーロー「空条承太郎」の娘です。承太郎は自分の持つ能力ゆえ、身の回りにトラブルが起こりがち。大切な妻と徐倫をそれに巻き込むまいと、敢えて距離をとって生きてきました。ですが、事情を知らない徐倫にとってはそれは冷たい仕打ちに思え、自分は父に好かれていない、愛されないと思い込んで暮らしています。そんな徐倫にも魔の手が及び、彼女自身陰謀に巻き込まれることで物語は始まるのですが、その「始まり」も彼女にとっては、「ボーイフレンドに裏切られる」という形で訪れます。徐倫のこのトラウマについては、各話の間に挟まるキャラクター紹介コーナーでもがっつり触れられていて、思っきし「自分は父親に好かれていないと思い続けて少女期をすごした BFにも裏切られ男性不信の心のキズはかなり深い」と書かれています。それだけでなく母を恋しがってメソメソしたり、序盤の徐倫は本当に「少女」。か弱いっていうかみっともないレベルで「少女」です。自分のことしか考えられない、母性のbの字もなく、精神的に「処女」です。しかし、面会に訪れた父・承太郎が襲撃され、意識を失っていくときに口にした「おまえの事は……いつだって大切に思っていた」という言葉から、彼女の意識が180度変わります。奪われた父の「能力」と「記憶」を取り戻すため、自ら死闘に身を投じます。これはいわば「母性」の開花ァ!(元々徐倫は優しい子なんですけどね。 水分を失って死に掛けている敵キャラに、水を注いで 復活させてあげたりするシーンとか。)身に付けたばかりの能力も、持ち前の頭の回転のよさで活かし、次から次へと訪れる敵を倒しながら成長していきます。それは、かつて「少年」だったときの父が通った道。「あたしのそばにいなかったのも…今ここで起こっているみたいな事に… ママや…あたしを巻き込まないためだった……」徐倫は自分が「守られて」いたことを、自らも戦うことによって「体で」理解していきます。それに並行して、新たな「愛」も彼女に訪れます。第6部読者全員が彼の恋を応援した(笑)、美青年ナルキソ・アナスイ。彼がまともに話したこともない徐倫に恋に落ちた理由が私はイマイチ理解不能! なのですが、とりあえず彼は最高純度の愛を徐倫に捧げ、都度謳いあげます(ナルキッソス……;)。最初は「なんだコイツ」みたいな目で見ている徐倫、勘違いしてキスをしようとしてきたアナスイに右アッパーをくらわせたりしますが、これはひょっとしたら「まだ徐倫に男性不信が残っている」ことの描写だったのではないでしょうか。戦士として心身の強さを手に入れ、それに伴って父親への信頼は回復したけれど、異性としての男性は、まだ信用ならん。ですがいわゆる「ラスボス」との戦いで、アナスイは文字通り「身体を張って」徐倫を守り抜こうとします。これには徐倫も驚いた様子。そして、最後の戦い。徐倫は、土壇場でのアナスイのプロポーズ(正確には未満なんだけどね)を受け入れます。詳細な内容・実際の画像は★「~ジョジョ立ち教室・プレゼンツ~ ジョジョの奇妙な冒険・感涙名場面50選」をご覧ください。これは「アナスイの一途な恋が報われた」という側面の方が目立ちすぎて気付かれにくいみたいなのですが、「徐倫が男性不信を乗り越えた」ということを表しているシーンだと思って見ても差し支えないと思うんです。そう、こちらに「信じる力」がなければ、相手の愛も受け入れることはできない。自分の見方しか考えに入れられない「少女」が、真実の愛に触れ、それを受け入れられる「強さ」を身に付けた「大人の女性」になっていく。バトル漫画ゆえ「戦士としての成長」ばかりが目に留まる『ジョジョ』ですが、これが第6部の裏テーマであり、荒木先生の幅の広さを示しているのでは、というのが私の見方です。あとアレね 第6部のみどころは徐倫が他の女子キャラと交わす会話の女子校っぽさ。刑務所が舞台で、序盤~中盤は周りが女子ばかりということもあって、女子校ノリ全開です。第6部。連載初回からオ●ニーの話をしたり、吸収性がいいことの喩えに「生理用ナプキン」が出てきたり、あとは陰湿なイジメとか女同士の表面的な「媚び」があったりとか、「もう、なんで荒木先生男の人なのにこんなに女子だらけの コミュニティーのことよくご存知なの!?」と不思議になることしきり。双子の妹さんとか、2人の娘さんがいることが影響してるのかもしれませんが……う~ん、やはり荒木先生、底知れません……。『ジョジョ』は現在第7部『スティール・ボール・ラン』が連載中。そろそろクライマックスですが。こちらにも「強く美しい戦う女の子」が出てきます。デビュー当初から現在、そしてきっとこれからも、荒木先生はそんな女の子を描いてくれるのだろうなぁ、と、そう思います。スティール・ボール・ラン (1) ジャンプコミックス [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword