2007/06/21 Category : Books 夏石鈴子『バイブを買いに』 バイブを買いに短篇集です。アタマ軽そうなタイトル&表紙ですし、じっさい前半の4作品は「エロカワイイ」で済ませても大丈夫そうな内容。セックスを通して、痛切なまでの「好き好き」を確認する、みたいな物語が並びます。文体も平易ですし。でもそれにダマされちゃいけない。5作目『ママ』で、母親に「あんたなんか産まなければよかった」と聞かされつづけて育ったエピソードが描かれてから、内容が一気に壮絶さを帯びます。後半『虫の女』から始まる3作品は連作で、恋人との子供を中絶したエピソードと、その後再び妊娠し、今度は産むと決心するところまで。この、中絶の場面がね。淡々とした文体で、病室の様子とか綿密に描写されてね。女性が読んだら、たぶん具合が悪くなる。敢えて読むことはないと思いますが、何かのめぐりあわせで「出会って」しまったら、読まざるをえない本かな、と思いました。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword