2008/05/08 Category : Books 『肉体の学校』三島由紀夫 肉体の学校 (ちくま文庫)パッと見、やっすいメロドラマ。題名も上手いとは言いがたいしね。三島由紀夫はたまにこういうのを書くし、そしてそれはなんだかちくま文庫に多いんだが、まぁたぶん編集者の手腕なんだろう。そしてこういう作風もたまにやっちゃうZE★ってのは官僚的空気の中で育った三島なりの家庭≒自分への反抗なんだと私は勝手に解釈している。それでもどうしても抜けきらない文体の気品というか、下衆な人間・下卑た場面を描いてはいても、それを描写するその言葉が流麗で美しくて「もう、やっぱりゆっきーなんだから♪」って嬉しくなってしまう。この作品は、話自体は熟女の失恋⇒成長譚なんだが、読んでて三島自身が主人公たちになりたがってたんじゃないかと思えてきた。主人公みたいに、知的で家柄が良く美しい熟女になりたい反面、若さと見た目の美しさだけが取り柄で、中身は自分が思ってるほど詰まっていなくて、熟女にコテンパンにやっつけられる愚かな少年にもなりたかったんじゃないか……と思えてくる。あるいは前者が三島の幼い頃から培ってきた素質で、後者がボディビルを始めてから目指していた像かな。だって、少年の描写が「肉体」時代の三島の肖像と印象ダブるんですもの。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword