2009/04/28 Category : Books 『禁色』三島由紀夫 禁色 (新潮文庫)これもねぇ……。だいぶ前に読み終えたんだけど、素晴らしすぎて感想書くのもおこがましくてねぇ……。延び延びになっていました……。なんつったって! にほんごが!! すばらしい、美しすぎる!!多少抵抗がある内容でもすいすい読ませて、しかも各文が印象にも残る、三島由紀夫の日本語力って本当にすごい。再認識した。そしてストーリーがね……。俊輔に見出され、「見られる存在」としての自分に目覚めた悠一が、ある出来事をきっかけに「見る存在」に生まれ変わる。一方、悠一を道具のように使おうとしていた俊輔は、自分がそれ以上の感情を悠一に対して抱き始めたことに気付く。悠一の変化は、身勝手で高慢な処女が自分のことを気にしない母性を身に着けるかのようだし、俊輔の変化も、ひたすらに他者を憎んでいる傲慢な童貞が筆下ろしを経て、きちんと相手をいち人格として見られるようになるかのよう。これを「誰も幸せにならない物語」って書いてる人もいたけど、私は違うと思う。悠一、俊輔とも、自分を生きづらく不必要な自意識が削げて、その状態で物語を終えることができて、幸せじゃない、なんて思う。その「幸せ」が果たされなかったのが『豊饒の海 天人五衰』の結末で、まぁそうなると三島本人は最終的には「誰も幸せにならない」を選んだのかなー、とかね。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword