2007/09/19 Category : Books 『テロリストのパラソル』藤原伊織 テロリストのパラソル『シュガルン』→土屋アンナとせっかくカワユス系で来ていたのに、ここでまたハードボイルドにサスペンスな感じに戻りまふ。嗚呼サスペンスとゆーと理想的でカコヨスなイケメソがゴーヂャスな謎の美女と知り合いになりつつ厄介な事件に巻き込まれ、解決していくうちなぜか美女とねんごろにゃんごろになる・・・というパターンが王道だと思うのですが、この作品のいいところは、主人公がカッコよくない。40代、アル中、新宿のバーテンダーで友達はホームレスの青年だけ、70年代学生運動で敗走した過去を持ち、さらに親友の作った爆弾での事故に巻き込まれお尋ね者になっている、とかそういう。ある晴れた日、習慣通り新宿の中央公園で芝生に寝転びウィスキーを飲んでいたら目の前で爆弾を用いてのテロが起こる。やりすごそうとその場は立ち去るが、遺留品や証人となる人物を残してしまう。しかも、彼を追いかけ始めたのはどうやら警察のみではないらしい・・・。トリックが特に手が込んでいるとかではなくて、主人公が限られた情報・人脈を使って「誰が、何のために」テロを起こしたか、を導き出していく推理の過程がキモ。また、そこに学生運動にかかわった主人公や旧友の思いも交錯し、物語を重層的にしていきます。「奇妙なやくざ」浅井など、キャラクターも魅力的。会話がウィットに富んでいて、読み飽きない。サスペンスって1度読んだら終わりだからあんま好きではないんですけど、これは読み返したくなる秀作でしたねぃ。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword