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紫式子日記

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ベルギー王立美術館展


ベルギー王立美術館展行きましたよ。

めちゃめちゃ穏やかな陽気だった木曜日。



当初の目的はマグリット・デルヴォー、余力があったらアンソールも悪くないよなぁという、モロ近代作品狙いだったのですが、大きなマチガイでした。

古典作品もスッゴいの来てます。

というか、私が愛してやまない近代絵画も、ちゃんとその土地の美術的伝統の上に成り立っているのね。ということを学ばせていただきました。





まず会場に入ると、公開記念動画が流れています。

内容は、ベルギー王立美術館での所蔵作品の維持・修復の模様と、美術館を訪れる人々の様子。

どこの美術館でもやっていることなのですが、こうやって改めて映像で見せられると、作品への愛を感じさせられます。

これから観る作品にも敬意を払おうと、居住まいを正されました。





コンセプトによるセクション分けはなされておらず、作品は時代順に並んでいます。

今回も気に入った作品メモでお送りします。



◎ブリューゲル(子)『婚礼の踊り』

朱色がすごく鮮やか。

教科書で何度も観た絵だけれど、実物は本当に表情が豊か!

表現がマンガ的なんですよね。で、すごく緻密。

垢抜けた印象はない絵ですが、観ていてすごく楽しいです。

1人1人の表情を、細かくチェックしてみたい感じ。



◎ピーテル・ブリューゲル(父)『イカロスの墜落』

ベルギーから出るのは初めてというこの展示の目玉。

題名が題名だから、墜落するまさにその場面が大写しなのかと思ったら、一見漁村の日常風景。

はるか眼下に海が広がっていて、そこにぽちゃーんと落ちている。イカロス。

死もまた、日常。

(子)の『鳥罠のある風景』といい、でもそんな、改めて言わなくたって、、、。ってくらい、諧謔。

フランドルの静物画も放ってるメッセージは似てる、よね。



◎ヤーコブ・ヨルダーンス『飲む王様』

車内広告に使われていたこの絵。

王室の様子かと思っていたら、クリスマスの「豆の王様」なのですね。。。

印刷物にすら感じたけど、やっぱり実物は生命感・生々しさがスゴい。

決して美しくはないけれど、熱狂・狂乱が時空を超えて伝わってくる感じ。



◎ヤーコブ・ファン・スワーネンブルフ『地獄のアイネイアス』

細かい・細かい・細かい……。

ボスの『天地創造』「地獄」みたいな色彩・雰囲気なんだけど、とにかく描きこみが細かい・細かい・細かい……。

虫眼鏡使いたくなりました。

ブリューゲル親子といい、こういう細かさはこの地域の画家の十八番なのかしらね。

こう、絵の内部へ内部へ、自分の心象へ心象へもぐりこんでいく感じ。



◎素描

↑みたいなことを考えていたら、古典素描の展示が。

油絵ですら細かい人たちに、ペンなんて持たせたら何をかいわんやです。

頭痛とめまいを催しました。



◎フランソワ・ジョゼフ・ナヴェス『砂漠のハガルとイシマエル』

明確な物語と対象を扱ってはいるのですが、何もない空と砂漠にシュールっぽさを感じます。

特に空には、マグリットがのぞいた。

そうか、マグリットの空も精神世界的な作風も、ベルギーの伝統だったんだ。



◎フェリシアン・ロップスの作品

『娼婦政治家』以外の作品、初めてかも? 「ベルギー象徴派展」にもあったか。

この人は上手いですねー。

女の汚らしさ・醜さ、人の心の意地汚さ・いやらしさ、どうしてこんなに生々しく描けるんでしょう?



◎ジェームズ・アンソール『怒れる仮面』

フランドル画家の諧謔精神を引き継いだのはロップスとこの人ってことなのかな。

構図がシンプルだから勘違いしてたけど、これ、実物は案外大きいのね。



◎ジャン・デルヴィル&クザヴィエ・メルリ

知らない画家さんだけれど、象徴主義ちっくで好みだったー。



◎ルネ・マグリット『光の帝国』

デザート的に、シメはコレで。

やっぱりこの人の青空は好きだな。

うそ臭い、だけどリアル。

でも実際の空を見ると、マグリットの絵と同じくらいうそ臭かったりする。

特に「光の帝国」シリーズは画力が安定してからの作品群なので、絵の巧拙を気にせずにふしぎワールドに入り込め、いいですねぃ。





集客力のある有名絵画が来ているわけではありませんが、展示全体にチャーミングさを感じます。

感銘を受けるというより、いとしさを覚える

そういう展示でした。

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