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紫式子日記

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デ・キリコ展




巨匠デ・キリコ展
大丸ミュージアム



やっと行ってこれましたよー。



キリコも、実はよく知らなかった画家

『沈黙のミューズ』と『不安を与えるミューズたち』は知ってるよ〜? くらいな感じ。

知ろうとしなかったっていうかね。

母親の葬式でもかおひとつ変えなかったマグリットが、キリコの絵を見て涙を流した……っていうエピソードで、きちんと知っておかなきゃとは思ってたけど、いかーんせーん、色彩とタッチが私好みじゃなくって。

延ばし延ばしでここまで来たんですが。

「まぁ、こういう人だったのね!

って思わせてくれる展示でした。



展示の中心になっているのは、彼が80歳代に描いた、新・形而上絵画。

ですから所謂「キリコ」と言われて思い浮かぶ作品群ですし、90歳で没したことを考えると、晩年に至った境地を拝見することになる訳です。

ただ、私が興味を持ったのはむしろもうちょっと若い頃の、古典絵画の模写・デッサンです。



上手いんじゃん


なんて畏れ多いにも程があることを思ってみたりもして。。。

あれらの、不安・切迫感がダイレクトに描かれた一連の作品を観て、初めて形而上絵画に漂う特異な雰囲気の正体がわかるのかな、と……。



一見のどかな日常に潜む、ちょっとバランスを崩せばたちどころに現れそうな、不安。

そして、それらを取り囲むように配された、三角定規や幾何学的な立体図形、何よりそれがキャンバス上の「寓意」であるというギリギリの安心感。

だけど、『ヘクトルとアンドロマケ』に見えるこの親密さは本物の気がするぞ?



……そんなことを、感じつつ……だからちょっと居心地の悪い、だけれど何周もしてずっと観ていたいような、そんな展示でした。



そうそう、この人やっぱり大学で理系だったんだね。

道理で。って感じだったよ。
画像は、大丸ミュージアムおよび松坂屋のサイトより。

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