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紫式子日記

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『ミュシャ展』

勢いで結局行ってしまいました、ミュシャ展。

案の定人が多かったです。

またすいてそうな時行こう…。



でもよかったですね。

作品数多いとやっぱ違います。

画家の創作遍歴全体をたどれますし、「意外な一面」も見れたりしますしね。



今回ミュシャについて「発見」したことを時代順にざっと並べると……
?油絵から平面的だった

否定的な意味じゃなくてね。

他の油絵メインの画家に比べて、塗り込みが少ないんです。

ミュシャのアール・ヌーヴォー様式の萌芽は、すでにあったんだなぁ、と。



?装飾性

「発見」というより「再確認」なんだけど……

本当に「装飾」なんです。

美意識の実現のためなら、「自然さ」に反することもいとわない姿勢。

だって日常であんな姿勢になることないじゃん!

花や木があんな具合よく生えるわけないじゃん!!

やはりそこはポスター・室内装飾デザイナーですよね。

人目を引く美しさを持たせてナンボっていうか。

「自然な」ものじゃ誰の目にも留まらんもんな、そりゃ。



?愛国心、文化的な

人物の衣装のデザイン性も、ミュシャの数多い魅力のひとつだと思うのですが……。

今回スラヴ叙事詩とか、スラヴがモチーフの作品もたくさん見て気付きました。

あの衣装、スラヴの民族衣装の応用なんですね。

頭飾りとか……パリの人たちにはエキゾチックな魅力も感じさせたかもしれない。

モチーフの幾何学的な処理のルーツも、民族衣装に使われるデザインパターンに見い出せるかもしれない。



?パステル画

初めて見たのですが……。

ポスター制作とか、いわゆる「ミュシャ様式」の最盛期にも、ああいう絵描いてたんだ〜、へぇ〜……みたいな。

説明書きの表現を借りれば、「オカルト、曖昧模糊」。

確かにその通り、タッチはぼんやり、色もダーク、モチーフもどこか不気味。

人物も「自然な」ポーズをしていて、他の画家の絵みたい。

でも装飾的デザインと並行して描いていたこれらの素描が、のち手掛けることになる故国のための絵画群に重厚さを持たせることになったんでしょうね。



?愛国心、政治的な

こういう要素は同時代の芸術家すべてと不可分だけど、でもミュシャは特に。

愛「国」心と書いたけど、ミュシャの生涯の途中まで祖「国」ですらなかったからね。

上に書いたように、華やかな作品群にも、ミュシャの民族的アイデンティティとか、祖国への想いが見い出せますし。

芸術が政治的プロパガンダに用いられるのって、個人的には好きでないんですけど、ミュシャに限ってはそうも言えないかなー、みたいな。

「政治」以前に「民族」のレベルだからなー、彼の場合。

彼にとっては建国=民族アイデンティティの裏づけ、だったろうし。

ちょっとこの辺になると話がふくらみすぎるのでやめておきますが……。



まぁ人によって思うところは異なりましょうが、見ごたえ十分です、「ミュシャ展」。

お土産には「装飾資料集」のデザインを基にしたバターナイフを買ってきました。

台所でそれだけ浮いてますw





横浜美術館は休館だったので、デュシャンは明日です。

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