2009/03/22 Category : Art 「やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」@東京都写真美術館 ★写美Webサイト★TOKYO SOURCE インタビューページ20代~40代の女性が「自分の50年後」の理想なり予想なりをやなぎみわに伝え、特殊メイクで「50年後」の姿を撮影する「マイ・グランドマザーズ」シリーズ。元々やなぎみわの作品には「老婆」が多いのだけれど、今までのものはモチーフとしての「老婆」というか、一般概念としての「老婆」という感じだった。いろんなおとぎばなしに共通して出てくる「魔女」みたいなポジションの。でも、今回は実在の、一般の女性たちが想像した「自分の50年後」で、どの「おばあちゃん」もそれぞれキャラが立っていた。印象に残っているのは、画面の外を見つめ、物思いに沈む表情の2作。「次の私の肉体は、必ず私の手で作る」と決め、人形制作に取り込む手を、ふと止めて考え込む《SHIZUKA》。年老い、水分を失ってかさかさになった肉体の「軽さ」が、喪失感よりも身軽さを帯びてきたということなのだろうか。海外に住む友人を訪ねよう、と突然決心し、飛行機に飛び乗った《SACHIKO》。窓側の席で朝日を見つめながら、己の存在の小ささに思いを馳せる。この2作が目に留まったのは、私が、そうなっていたいからなんだろうな。今までの人生とか、「今」の心地よさ、寂しさも含んでの気楽さ、そういうものについて考えながら、じーっと何かを見るでもなく見つめていたい。イヤ早く年取りたいですもん。早く今くらいのことを「若い頃はねぇ……」って語りたいですもん。そして気になったのは、「後継者」とか「次世代」を意識している人が多いこと。占い師として自分の後継者にふさわしい少女を探し続ける《AI》、海に沈んだ世界で、アマゾネスの女長老のように生きる《MIKA》、人類がほとんど死に絶えた世界で予見をする《MIE》……。そして、やなぎみわ自身も《MIWA》として、世界各地に養子を迎えに行く旅に出ている。(なぜか衣装はメーテル!)私はそこまで思いが至らないのだよなぁ。自分のことしか考えられない。というか、自分の現在にすらリアリティを感じていないからなぁ。若い女子にとっては、「思いを馳せる」いい契機になるシリーズだと思うのだけれど、彼女に連れられてきちゃった男子とか、リアルおばあちゃん(実際にいた)とかはこれを見てどう思うのだろう、と考えてしまった。かなり気になる。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword