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紫式子日記

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「マグナムが撮った東京」展


家で『エロマンガ・スタディーズ』を読んでから、

ファミマで『ブルータス』最新号「西洋美術を100%楽しむ方法。」を買い、

『ゴシックとは何か』を読みつつ電車に揺られ、

東京都写真美術館「マグナムが撮った東京」展を観てまいりました。

私は何になりたいのかよくわかりませんが、なんか卒論からこっち吹っ切れたというか、好きなことを好きなだけ追う度胸が付きました。



「マグナム」ってのは

「熱いのをブチこんでくれよ(´Д`*;)」

じゃありませんで、フォトジャーナリスト集団の名称。

そのメンバー(ほとんどが欧米人なのですが)が来日した際に撮った

「東京」の写真を年代順に展示する、という催し。



「異文化から見た『TOKYO』」という観点でももちろん面白いんですが、

私の目当ては創立メンバーの一人 アンリ・カルティエ=ブレッソン

森村泰昌の指導者アーネスト・サトウが、彼と懇意だったとかで、よく授業の教材に取り上げたんだそうです。

そこで森村は「モダニズムの美学を学んだ」として、再三カルティエ=ブレッソンを扱っているのです。

ちょうど『芸術新潮』でそれを特集した99年6月号「アーネスト・サトウの写真教室」を古本屋で手に入れたばっかりだったってのもあります。

だから、マ、その追体験ですわね。



森村がアーネストから教わった「モダニズムの美学」とは、「骨がある」こと。


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『薔薇の名前』


薔薇の名前 特別版
薔薇の名前 特別版


おぉぉ、なんっかひっさしぶりに

「知的興奮」ってのを思い出しましたよ!!



最初に観たのが1年生の(4年前だよ!)「美学」の授業で、

確か「記号論」とか「美のコード(記号)」ってつながりで

2〜3回に分けて観たのですけれども、

やーっぱいろいろ忘れてますね。

『ゴシックとは何か』を読んだ後ってだけで、

だいーぶオモシロサが違います。



この本、気に入りすぎて再読してる最中です。

『薔薇の名前』もっかい観ようと思った

そもそもの動機だって、『ゴシックとは…』で

「ユニゾン(複数声部が同一旋律を演奏すること)が出てきて、

「『薔薇の名前』で修道士たちが歌ってたのがそーだよね」

って思い出して、聴きたくなっただけっていう。



物語自体は、中世14世紀、北イタリアにある修道院を舞台にした

連続殺人事件の謎を、ショーン・コネリー(カコイイ)演じる

ウィリアムと、その弟子アドソが解く……

という「歴史ミステリー」なのですが。



原作が原作、現代を代表する哲学者ウンベルト・エーコだけあって、

いろいろヤヤコシイ。と言うべきか、深読みできると言うべきか。



以下個人的なメモ程度に。



(1)「言葉」というもの

凡庸なことしか言えませんが。



原作は「エーコが手に入れた古典文書をイタリア語訳して出版する」という設定らしいし、

映画でも「アドソが記憶をたよりに記述している内容」っていう体裁をとっている。

つまり、どちらも「目の前で起きている出来事」じゃなくて

「"言葉"によって書かれた"記録"」っていうことが強調されてる。



エーコは記号論学者だし、

「言葉が世界を作り出す」

って立場に立ってるんだろうな。

実際、自身の創作に限定してだけれど、

そういう表現をしていました。



映画では(たぶんハナシがふくらみすぎるから)

結局カットされていたけれど

「枯れてもなお残るは薔薇の名前」

っていうセリフも、

「実体はなくなっても"言葉"は残る」

って読み方ができるんかな、と勝手に解釈。



(2)ゴシックの意匠

11〜12世紀、都市に流入した農村出身者を対象に、

権威の象徴として作られたゴージャスな建築、


ってのが典型的ゴシック大聖堂なんだけど、

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『ソドムの市』


パゾリーニ・コレクション ソドムの市 (オリジナル全長版)
パゾリーニ・コレクション ソドムの市 (オリジナル全長版)


『バーバレラ』のバカは

  (・д・)

ってなるしかないバカだったけど、

こっちのバカは思わず考えこんじゃうバカ。

正常な神経の登場人物もいるしね。



ファシズム政権下の北イタリア、

政府の高官たちが権力にものを言わせ

若く美しい少年少女たちを集め、

凌辱と残虐の限りを尽くす。




高官たちが交わす

「何事も極限に美が存在する」

って冒頭の会話は、同時に製作側の

「極限までヤりますよ」

っていう宣言にも聞こえる。



て、カクゴはしてたんだけど、

想像を絶してアレだった(-д-||)

無修正だし……。

30分前フリ、30分変態地獄、30分スカトロ地獄、30分拷問地獄

みたいなタイムテーブル。

スカトロが厳しかった……。



ナチ批判映画だったらしいが、

んで実際そーいう気持ちもあるんだろーが、

なんてーか、やりたかっただけじゃなかろうか……。

パゾリーニ監督自身、男好きで、この映画の完成直後

男の子にちょっかい出して返り討ちにあって、

はからずも「遺作」になっちゃったなんてエピソードまでついて……。




ただ、高官側でBGM係だったご婦人が身投げするのは全く予想外だった。

エンディング、高官づきの衛兵が楽しむのは拷問シーンでなく、

「恋人について会話しながらのダンス」ってのも、ショックだった。

散々悪徳をやらかしたこの映画の終わりが、こんな平和的なシーンなのか……と。



あとなんかアレだな。

特に根拠はないんだけど、

残虐行為を繰り返す高官たちは、

「自分たちが殺されたがってる」

ように見えたな。なんだか。

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『バーバレラ』


バーバレラ
バーバレラ


バカエロかわいい(・ω・)



例によって森村泰昌が「コスプレ」してたから、見てみたんだけどさ。

千野香織って人が、

「自分の意志もなく、

 ひたすら性的にいたぶられていた

 B級映画『バーバレラ』のジェーン・フォンダ」


って批評してたりしてね。



そこまで

「ヒドい!」

「フェミの敵だ!」


ってカンジはしなかったけど、

(フェミの敵であろうことはまつがいないが、)

セットはちゃちいし(宇宙船がTENGAに似てる)、

ハナシはパッパラパーだし、

カル〜く、ユル〜く、
深夜2時とかにTVでやってる

バカな映画をつい観ちゃう、あのカンジで観れる。



ま、確かにこーいう「映画的イメージ」を通して

「ブロンド女はアタマが軽い」

とかゆー言説の浸透が加速してったんだろーな。



バーバレラが「体でお礼」することに味をしめて、

「とりあえずヤっときゃ収まる」みたいな態度になるところとか、

「お前、それはオトコを増長させるだろ……」

とかツッコむ気力すら失せた。



でもこれは……アレですよね、

意図的に「B級」をやってるんですよね……?

え、私はもう少しくらい、人類を信じたいよ。

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「リアルのためのフィクション」展


東京国立近代美術館 「リアルのためのフィクション」 Webページ



狙って来たけど、やっぱりアタリだった。

展示点数こそ少ないけれど、無料解説パンフレットに



「アートとは昔から、

 ひとびとの感覚を研ぎ澄ますための

 『砥石』のような存在ではなかったでしょうか。」




なんて書いちゃうカッコよさ。



コンセプトは

「リアルを把握するために、

 あえて日常にフィクションを置くアート」


ってことだったらしいけど、

アーティストごとで、そのアプローチ法は違うように思えました。



やなぎみわは「寓話シリーズ」をどこかで見て「ヤられ」たのだけれど、

やっぱりスゴかった。

Webで見るとわかりにくいけれど、けっこうデカいんですよ、この人の写真。

その迫力と、蜷川実花の写真にそのまんまクロを増やしたような、色彩の鮮やかさ

そして、モチーフの切なさ、憂鬱さ、倦怠感

展示されている『案内嬢の部屋1F』は、特に諷刺性が強くて

「ごっ、……ごめんなさい!」

って謝りたくなる感じだった・笑。



ソフィ・カルも面白かったな。

ソフィをモデルに、知人が小説を書きたいって言ったらしいんですよ。

ソフィはそれを快諾すると共に、

自分がモデルとなった小説の主人公「マリア」に自分を似せて、行動するんです。

その様を写真に撮ってあって、ざっくりいえばコスプレ写真なんですけど、

なんだか楠本まきの『致死量ドーリス』みたいなハナシ。

自己を追い求めるための、自己の放棄。



致死量ドーリス
致死量ドーリス


イケムラレイコは、そんなにインパクトなかったかな……。



塩田千春『bathroom』は、想像してたよりスゴかった。

ソーゼツだった。

お風呂場に泥水を満たして、

体を清めるはずのオフロで体を汚す

ってパフォーマンスの映像なんですけど、

まぁ「過剰な泥遊び」ですよね。

んで、モノクロだから、脳内で勝手に彩色できるんです。

するとなんだか、かぶってる泥水がに見えてくるんですよね。

いまゴシックとかバタイユ関係の本読んじゃってるせいなんでしょうけど、

「供与の犠牲」ってゆーんですか、「左極の聖性」ってか……

彼女自身そのパフォーマンスを「儀式」と表現しているんですが、

「ここにいることを確認するには、そこまでやらなきゃいけない/いけないのか?」

っていうことを、突きつけられた気になりましたね。

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