2007/10/06 Category : Comics 『レッド 1』山本直樹 レッド 1 (1) (KCデラックス)元々「70年代学生運動の敗退を見た世代の ニヒリズムを反映した作風を持つ漫画家」としての山本直樹に興味があったから、いよいよ描いてくれたか、という気分。『デマコーヴァ(『ラフ&レディ』に収録)』での「美少女カニバリズム」とか、山本直樹は人を人とも思わない描き方をするえろまんが家で、本人もコマのすみっこやあとがきで「しどい(ひどい)まんが」と自己申告してたりするんですよね。んで、たぶん『エロマンガ・スタディーズ』だったと思うんですけど、学生運動失敗を見たゆえの虚脱感が男も女も人格を無視される、この作風に反映されてるみたいな論評があったんですよ。んで、この作品。なんか●●●山荘事件の犯人とかガチで出てきてて、さながらドキュメンタリーまんがの様相。全国数箇所で同時多発的に起こる学生運動(終息に向かっていた)を、それぞれ追っていく形式。私としてはこの時代のこういう動きは「戦後日本のトラウマ」で、なんとなく触れちゃいけないみたいに扱われてきて、今やっと描けるように、読めるようになったと思っていたのですが、どうなのでしょうか。とりあえず山本直樹なので読みにくいのは仕様なのですが、読みにくい原因はたぶん各回でキャラクターに付く「このとき▲歳 ●●●山荘で逮捕されるまで あと■■■■日」っていうキャプション。あと、死ぬ順番にキャラクターに付された番号。でも、このすべてを数字に還元する「しどいまんが」っぷりこそが山本直樹、なんだよなー。 キャラクターが揃いも揃って地味なので、見分けられず何度も読み直した。あと「山本直樹らしくない」という意見も。「なんかジメジメしていない」だって。確かに、ヘドロの中を「ずぶっ」って進むシーンが、いちばん「らしかった」かも。結末を読めば虚脱感に襲われるとわかっていて読むのは、もう虚脱感を追体験したいからなんだろうな。今回も、いい虚しさを期待してしまっています。Rough & readyエロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword