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紫式子日記

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耳で感じる「左極の聖性」 ~書上奈朋子『PIANOIR』~



書上奈朋子のピアノ曲が収録されている、と聞いたもので

エキセントリック・オペラが一時所属していた
癒し系レーベル「Kanon」(だったの?)の
ピアノ・コンピレーション・アルバム
『Avec Piano』をようやっと買った。

Avec Piano
Avec Piano

「たった1曲だし、ピアノの音苦手だし、
 どんな曲かもわからんのにお金出すのはなー」
とずっと迷っていたのですが、youtubeで動画を発見、
「ひと耳惚れ」して速攻Amazonでポチでした(・∀・)

他の曲も良かったんですが、やっぱ書上奈朋子の
この曲ばかり延々1曲リピートしてしまいます。



曲は動画でお聴きいただければよいかと思うのですが、
この不吉さ不気味さ、それゆえの崇高さ。
本当にバタイユの言う「左極の聖性」を現出してるなー、と思う。
死とか禍々しいものに接したときに感じる、不浄で不吉な聖性。

重なるグレゴリオ聖歌風のコーラスが
さらに雰囲気を高めていますね。

「左極の聖性」「右極の聖性」については↓のblog記事の
冒頭でわかりやすくまとめられています。
todaeiji-weblog様「15 都市の中の寺院 02」

読むならこっち↓
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)



書上奈朋子の楽曲は、長調で癒し系のものもあるけど
印象が強い曲のほとんどは短調の「左極の聖性」系で、
得体が知れないけれど心地よい、どこか
暗いところに手を引いていかれる感覚があるんだけど、

そんな楽曲の中でも『PIANOIR』は抜群の怪しさ。
「NOIR」=「黒」の名を冠しただけあると思います。

でも本人にこの題名について聴いたら
「まぁグランドピアノはほとんどが黒いですからね……」
とか言いそうでコワい。



おまけとして、各演奏者が作品に寄せてるコメントでも
書上奈朋子は異彩を放っていた。

他の演奏者が「明日への希望と夢を抱くための休息」とか
「深い森の泉から、清らかな水があふれるイメージ」とか
書いてる中で

「小さいころ家にあったピアノは、時々誰もいない部屋で
 必ず決まった音を鳴らしてました。
 家族みんな聞きました。高いAの音です。」


ホラーwwwwww

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