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紫式子日記

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『ショコラ』


ショコラ DTS特別版
ショコラ DTS特別版


いやぁよかっためっちゃよかったin早稲田松竹



てゆーか、こーいうこと言うから私はタタかれるんだろーけど、
フェミ映画。

誰が、なんといおうと、たぶんコレフェミ映画

それも「フェミとマイノリティーは共闘できる」とする立場の

フェミニズムですね。

ハッピーに生きて、なにがわるい。

それが反体制だからといって、

幸せをさまたげるな、チョコレートを奪うな。



設定が1950年代ってところで、

こりゃもう私たちの想像を絶して

保守的・排他的な時代だったんだろうなと。

おまけに舞台となる村は

「すべてのことにしきたりがある」場所。

村長のレオ伯爵が、カトリックの戒律に

もとづいて村人を厳格に支配している。



そこにやってくるヴィアンヌは、

村にとって「よそもの」である上に

教会に行かない、

娘がいるが結婚経験はない……。

えりぐりの広く開いた服を着て

あざやかな色彩を好む、

「ふしだら」「異教徒」

さらに、これは観客のみに与えられる情報だが、

彼女の母親はメキシコのインディオ(たしか)。

インディオのなかでも「流れ者」と呼ばれる

カカオを用いたマヤ文明の医術の伝道者で、

代々定住しない母系一族の末裔。

思想・宗教・「血」、すべてにおいて

マイノリティー
なんである。



そしてレオ伯爵は先祖のレオ1世が

「村から異教徒を一掃したこと」を

誇りに思っているような人物で、

トーゼン、ヴィアンヌを目の敵にする。



しかし、ヴィアンヌは母から伝えられた

ショコラティエ(チョコレート職人)の技術と、

相手の味の好みと精神的な必要とを

瞬時に見極める「勘」で、

村の人々をだんだん幸せにしていく。

その一方で、レオ伯爵による

「チョコレート弾圧」も過激化していく。

チョコレートを悪魔の食べ物、

ヴィアンヌを悪魔の手先扱いして……。

(この辺『哀しみのベラドンナ』に近いと思った。

 どっちも「フランスの片田舎」が舞台だしねェ……。)




夫に暴力を受けるジョゼフィーヌが

ヴィアンヌのもとに逃げ込む、というくだりは

映画の主題をよりわかりやすくしていてイイね。

「この村では、結婚して子供を生んで

 夫に三度の食事を作ることだけが

 女の幸せだとされているの

 それ以上を求めると

 気が狂っていることになるの」


「生まない装置」は不良品。

「神の目にはまだ夫婦なんだ」

「神は盲目なのね」


のくだりには、シビれた。



とはいえ、レオ伯爵も「完全悪」ではない。

彼は自分の宗教的信条、「信仰」、「善意」に

のっとって行動している。

また、ジョニー・デップ演じるヒッピーのルーも、

自由気ままに生きているように見えて

けっして幸福ではない。

行く先々で遭遇してきた偏見・差別で

心がこりかたまっている。

そーいう、多様な価値観を

見せてくれる点でも秀逸。



「人の価値は、何を拒絶するかではなく

 何を受け入れるかで決まるのではないでしょうか?」


キリスト教のプロパガンダ映画ではないのだけれど、

レオ伯爵の言うがままになっていた若い牧師が

「自分で考えて」話すイースターの説教。

これがたぶんキリスト教の原初の精神だし、

フェミニズムもまた、めざしている境地。



さらに、村人やルーだけでなく

ヴィアンヌもまた「癒される」べき弱さ、哀しさ

抱えているってのがニクい。

村を飛び出そうとする彼女と、

ないていやがる娘がもみあったときに

マヤのまじないの壺が割れるっていう

演出がスバラしかった。

そう、ヴィアンヌもまた先祖から受け継ぐ

「流れ者」の伝統にとらわれていたわけで。。。



「まだ戦うべき戦いがあるけれど、

 それは次の誰かにゆずりましょう」




フェミの戦いの終焉はフェミが不要になること。

といったら飛躍して聞こえるんだろうが、

しかしそういった観点でもスバラシかった。





ところでジョニデ目当てで行ったんだけど

脇役だったーね。

しかしこのジョニデはいろっぽいな。

役どころオイシすぎだし。

たしかジョニデ自身もいろんな民族の

血を継いだ「混血児」なので、

そーいった点でもハマり役なのだろーな。

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