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紫式子日記

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『Girl Friday』やまだないと


Girl Friday
Girl Friday




やまだないと作品の中でも、エグ度が高い一作。

この人の場合エグい話は短編に多いんだけど、これは長編なのでね。



一人の男性が、自分の人生を振り返るという形式をとっています。

主人公・O崎は、幼少の頃から父親にまるで関心を持たれていないことを重圧に感じていました。

男に「男として欠陥品」として扱われている、と。

そして高校生のとき(?)、その清潔さに憧れていた同級生・K子が、父親と関係しているところを目撃してしまい、その劣等感を確かなものとしてしまいます。

そのときからO崎は「今の自分」になり、「たった一匹の蝶」を探し続けていました。

中年になったとき、K子の面影を持つ一人の少女と出会い、自分が探し続けていた「蝶」の正体を自覚しますが、それは「決して手に入れることが出来ない」ものでした。

それでもO崎は「探し続け」、晩年に「いい人生だったな」と口にするのです。



……って書くと、「なぁんだオヤジの自己マン人生記か」って感じかもしれませんが。

そこはそれ、やまだないとですから。

オトコから見た女性〔少女〕観」「オンナから見た女性〔少女〕観」、および「オトコから見た男性〔少年〕観」「オンナから見た男性〔少年〕観」、を上手ぁく対比させ、「決してひとつになれないかなしみ」のようなものを描き出しています。

友だちに『西荻夫婦』貸したら、「これ読むとなんか哀しくなるぅ」って言われたの思い出しました。

やはり、根幹はそこなのかな、と思いますね。



また、全編フルカラー(豪華!)なんですが、男たちは(性器を除いて)白黒なのに、女たちは生々しく(影に緑とか使って! 油絵みたい)彩色されているのが、いろいろ「考えさせて」くれます・笑。

やまだないとの創作姿勢・視線を知ることの出来る巻末の対談も嬉しい。

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