2005/01/03 Category : Books 泉鏡花ー。 皆びとにおいては三箇日が最終日、一月三日、如何過ごしけん。何らも気に留めず稼ぎける村崎式子なるかな。本をば読める類の仕事なれば、『日本語はいかにつくられたか?』読み終えつ。古文をば教うる際の話の種にせんとぞする魂胆露骨なり。されどかようの目的なければかようなる本読まじ。 前置きの長くなりたるが、そが書の後書きに泉鏡花『勺薬の花』よりの引用ありき。すさまじきまでに甘美なる文体にして、我が心うち震えき。思い立ちたるが吉日と、帰途において某古書店に立ち寄り、角川の出したる『高野聖』買いき。只今「義血侠血」読み果てつ。あなや、恍惚と官能の文学なるを読むや!以上、浪漫主義的文語体のパクリでした。疲れたのでここからは言文一致体で行きます。漱石先生ありがとう。いゃー、すごいわ、泉鏡花。濡れ場描いてるわけでもないのに文体がヘンになまめかしい。文体が流麗で華やか。でね、地の文は文語体なのに、人物の台詞は口語体なの。その併用がまた、それぞれの良さを際立たせてて、良いんですよねぇ。リズムの良さは古文譲りだろうな。アマゾンのレビューにも似たようなこと書いてあったけど、「声に出して読みたい日本語」ですね。講談聞いてる気分でガーッて一気に読み通しちゃいましたよ。翻訳された戯曲に近い調子があるかも。『サロメ』思い出した。ストーリーは陳腐ですがね。森鴎外の『舞姫』もストーリー自体はアレな感じだったしねぇ。これが浪漫主義ってやつなのかしらん。いやしかしそれを補って余りある文体の美しさ。文章が(そこに描かれているものの力を借りることなく)それ自体で美しく在るっていう状態、久しぶりに拝んだ気がするわ。やっぱ文豪? 大物? は違いますねぇ。時の洗礼を受けて猶生き延びる「名作」の強さ。感服です。漱石や芥川も面倒がらずもうちょっと読もう。 [0回]PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword