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紫式子日記

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『娼年』石田衣良


娼年
娼年




やっと、今更、石田衣良。

なんで今まで読んでなかったかっていうと、まぁ単に文体が好みじゃなかったんです。

なんか、サラッとしすぎてるというか、あまりにするすると入ってくるから、却って抵抗があったんですね。

特に池袋ウエストゲートパークシリーズで顕著だったな。



だけど友達に大好きな奴がいて、それならば1冊くらい拝読せねばなと。

で、IWGPでもないし、有名作品だし、立ち読みしたときの「手触り」も良かったし……で、『娼年』です。



感想。

やっぱりこの人の文は、さらさらしすぎてるなー。

うっかりしてると、意味を認識しないまま飲みすごしちゃいそう。

「石田衣良特集」みたいなので使われていた表現なんだけど、「普通の」言葉遣いするんだね。

でもそのせいか、一気読みしちゃいました。

ES書きの合間縫って。



話も面白かった……。

うん、面白かったな。

一気に読めた訳だし。

設定はありきたりなんだけど、運び方が上手いんだろうね。

キャラクターが魅力的。キャラが立ってるっていうか。



グッと来たのは、巻末、「娼夫」を続けるか否かに関する周囲のアプローチについての

「どこまでも正しいメグミは強制をやめないのに、法や常識の外にいる咲良は最後の瞬間までぼくの自由を大切にしてくれる。ぼくは咲良の心づかいがうれしかった。」

っていう言葉かな。

文庫版・解説の姫野カオルコさんは、この作品を「やさしい」と評している。

なるほど、この作品全体を包む、さらさらとした、薄くて柔らかい、卵の薄皮みたいな雰囲気は「やさしさ」なのか。



ひょっとしたら「やさしさ」を素直に受け入れるのが照れくさいから、私は石田衣良が苦手なのかもしれないなぁ。

なーんて。

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